
基礎塗装は本当に必要?住宅の劣化を防ぐ方法とは
家の外観を整えるために「基礎塗装」を考えてはいませんか?
基礎塗装を施す前には、注意しなければならないことがあります。安易に塗装してしまうと、基礎の劣化を招く恐れがあるのです。
そこで今回は、主に以下について詳しくご紹介します。
・基礎塗装の必要性
・事前にやっておくべきこと
・基礎塗装の費用相場
基礎塗装を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
そもそも住宅の基礎とは?

住宅の基礎とは、建物と地面の間にあるコンクリート部分ことです。なお、基礎には、主に次の2種類があります。
・ベタ基礎
地面全体をコンクリートで覆うタイプの基礎です。床に湿気が伝わりにくいため、シロアリやカビに強いという特徴があります。
・布基礎
ベタ基礎のような「面」ではなく、「点」で住宅を支える基礎です。柱や壁などの下に、逆T字形の鉄筋コンクリートを打ち込みます。
住宅の基礎の役割とは?
基礎には、建物の重みを支えるという大切な役割があります。また、地震や強風などによる外的な力を地盤に伝えて、住宅が倒壊するのを防ぎます。基礎が劣化すると建物の重みや外的な力に耐えきれず、住宅の倒壊を招くことがあるので注意が必要です。
基礎塗装が必要な理由
基礎塗装が必要になる主な理由は、次の3つです。
- 剥がれ・ひび割れ
- 汚れ
- 内部の腐食
それぞれ詳しく見ていきましょう。
剥がれ・ひび割れ
ひび割れや剥がれが起きている基礎は見た目にもよくないため、塗装をしてキレイな外観を保ちます。ただし、ひび割れや剥がれを放置したままだと基礎の耐久性が低下するので、基礎塗装ではなく基礎補強工事をしてから塗装しなければいけません。
汚れ
経年劣化による汚れや雨染みを放置しておくと、カビやコケの原因になることがあります。美観も損ねるので、定期的な清掃と塗装による保護は欠かせません。
内部の腐食
雨水や空気中の二酸化炭素は、コンクリートのカルシウム化合物と反応して「コンクリートの中性化」を起こします。中性化が進行すると、基礎内部の鉄筋に錆が生じて強度が低下してしまうのです。
錆びた鉄筋が膨張した場合は、基礎表面にひび割れを引き起こします。それでも放置しておくと、膨張した鉄筋が外部に露出する「爆裂現象」につながります。
なお、基礎コンクリートの表面にサビ汁が発生している場合は、内部の鉄筋が腐食している可能性があるので、専門業者に点検を依頼してください。
基礎塗装のメリットとデメリット

基礎塗装を施す前に、メリットとデメリットを確認しておきましょう。
基礎塗装の主なメリット
・外観がキレイに整う
基礎に塗装を施すことで、家の外観を整えることができます。
・防水性が高まる
コンクリートは水分を含みやすく、温度の変化にも弱いという性質があるため、基礎塗装をして表面を保護すると劣化の防止が期待できます。
・シロアリの被害を防ぎやすい
基礎塗装によってコンクリートの防水性が高まれば、湿気を好んで集まってくるシロアリ被害も防げます。
基礎塗装の主なデメリット
・内部の劣化に気づきにくくなる
基礎塗装によって外観はキレイになりますが、基礎内部の劣化に気づきにくくなるというデメリットがあります。
・保護できる期間が短い
雨水などの跳ね返りによる汚れは日常的に発生するため、美観を保つには定期的な基礎塗装が必要です。
基礎塗装のポイント
効率的に基礎塗装をするためにも、次の2点を確認しておきましょう。
- 基礎塗装をするなら基礎補強の後に!
- 外壁や屋根の塗装もまとめて点検してもらう
それぞれ詳しく解説していきます。
基礎塗装をするなら基礎補強の後に!

基礎を長持ちさせるためには、「基礎の補強工事」をした後で塗装をして、耐震性と見た目の維持を両立させることが大切です。
どんなに見た目がキレイでも、基礎コンクリートの内部が劣化していると強度がどんどん弱まっていくので注意しましょう。
外壁や屋根の塗装もまとめて点検してもらう
外壁や屋根の塗装は10年に1度実施するのが良いとされていますが、基礎に使う塗料の効果も7~10年前後で切れるため、合わせて点検してもらうのがおすすめです。
外壁や屋根と同時に塗装すれば費用や工期を抑えることができ、住宅のメンテナンスも1度で完了します。
基礎塗装はDIYでもできる?
基礎塗装はDIYでも可能です。最近は、ホームセンターなどで基礎専用塗料も発売されています。主な基礎塗料の種類を見ていきましょう。
基礎塗装に使う塗料の種類
・日本ペイント「水性シリコン透湿ガード」
コンクリートの吸水を防ぎながら、通気性もキープできる基礎専用塗料です。塗装後はシリコンとフッ素が保護膜を形成するため、コンクリートの劣化も防げます。
・エスケー化研「ベースプロテクト」
アクリルシリコン樹脂が高い耐久性を実現する基礎専用塗料です。微弾性なので、クラックを埋めることもできます。
・アステックジャパン「ベースガード」
耐用年数12年のポリマーセメント系基礎専用塗料です。クラックを補修する弾性だけではなく、コンクリートの劣化を防ぐアルカリ性も有しています。
基礎塗装は専門業者への依頼がおすすめ
ご自分で基礎を塗装する場合には、下地処理として最低でも次のことを行なう必要があります。
- 塗装する部分の洗浄
- 大きなクラックの補修
- キレイに仕上げるための養生
どの工程も手間がかかるため、ご自分での基礎塗装は、あまりおすすめできません。洗浄や補修が不十分だと、塗装に失敗する可能性もあります。思わぬトラブルを防ぐためにも、基礎塗装は初めから専門業者に依頼しましょう。
基礎塗装や基礎補強工事の相場は?
ここからは、「基礎の塗装」と「基礎の補強工事」の費用相場をご紹介していきます。
基礎塗装の費用相場
補修箇所や基礎の状態によっても変わりますが、基礎塗装の費用相場は以下を目安にしてみてください。
基礎塗装の費用相場 | 1㎡あたり 3,500円~5,000円 |
作業内容 | ・下地処理 ・高圧洗浄 ・塗装 ・養生撤去 ・清掃 |
外壁の塗装とセットでなければ基礎塗装を引き受けてくれない業者もあるので、事前に確認しておきましょう。
なお、基礎塗装の作業期間は1日〜2日程度が目安です。
基礎補強工事の費用相場
基礎の補強工事には、いくつかの種類があります。それぞれの特徴と一般的な費用相場を見ていきましょう。
・ビックス工法
ひび割れにエポキシ系樹脂を注入して補修する方法で、規模の小さい細かいクラック補修に使われる工法です。基礎表面に生じたひび割れの補修としては、簡易的な方法になります。費用相場は1カ所につき1~2万円です。
・Uカット(Vカット)シール工法
幅が広い大きなひび割れの補修に用いる方法です。専用工具でひび割れをU字型(V字型)にカットしてシーリング材を充填します。費用相場は1カ所につき1~2万円です。
・アラミド繊維シート補修
コンクリート補修用シート「アラミド繊維シート」で基礎を補修する方法です。多層構造で強靭なアラミド繊維シートに貼付し、クラックが発生している基礎も強固にします。費用相場は、材料費と作業費込みで1.5万〜2.5万/㎡です。
・基礎増し打ち補修
既存の基礎の隣に新しい基礎を組み、一体化させる方法です。工費の相場は6~8万円/㎡です。
基礎塗装専門業者の選び方
基礎塗装専門業者の選ぶ際には、次の2点に注意しましょう。
- 実績豊富な業者に依頼する
- 信頼できる業者を選択する
それぞれ詳しく解説していきます。
実績豊富な業者に依頼する
基礎の塗装実績が多く、種類豊富な塗料を扱っている業者を選択しましょう。基礎塗装の実績が少ない業者は適切な補修と塗装ができません。完成度の高い基礎塗装をしてもらうためにも、料金の安さだけではなく、過去の実績を必ずチェックしてください。
信頼できる業者を選択する
業者を利用した人の口コミをチェックして、信頼度を確かめることも大切です。ただし、業者のホームページに掲載されている口コミは「自作自演」の可能性もあるため、他の媒体に掲載されている口コミを確認しましょう。
なお、ホームページに掲載されている施工例などに業者のスタッフが写っていない場合は、フリー素材などを使った「架空の実績」である可能性があるので気をつけてください。
まとめ
今回は基礎塗装の必要性や注意点、費用相場について詳しくご紹介しました。
基礎には建物を支えるという大切な役目があるため、見た目だけではなく、その耐久性も維持しなければいけません。外観だけを意識して塗装すると、内部で進行している劣化に気づきにくくなるので注意が必要です。基礎塗装は、基礎の補強工事をした後に行ないましょう。
また、ご自分の判断で基礎塗装をすると基礎の劣化を招く恐れがあるので、必ずプロに依頼してください。基礎塗装の費用相場は1㎡あたり3,500円~5,000円、工期は1日から2日程度です。
基礎塗装を検討している方は、複数の専門業者に見積もりを依頼して費用を検討するところから始めてみてください。