シロアリ駆除の保証期間は最大で5年?契約前に確認しておきたい内容と注意点
シロアリ駆除では、一度の処理で再発を完全に防ぐのは難しいため、駆除後の保証は非常に重要です。保証がない業者と契約すると、施工の不備や短期間でのシロアリ再発に対して適切な対応が得られない可能性があります。
今回は、「シロアリ駆除の保証期間」や「保証対象外のケース」などについて詳しく解説します。 優良な業者の選び方も紹介しますので、シロアリ駆除を考えている方はぜひ参考にしてください。
シロアリ駆除の保証は最大5年間
シロアリの駆除を依頼した際に「施工保証」が付いていると、シロアリ再発生時に無償で駆除を行ってもらえます。シロアリ駆除に使う薬剤の効力は5年なので、シロアリ駆除の保証期間も「最大5年」が一般的です。
以前は、効力の強い薬剤がシロアリ駆除に使われており、多くの業者が10年間の保証をしていました。しかし、環境や健康面などへの配慮によって薬剤の効き目が緩やかになったため、近年の薬剤効力は5年程になっています。
なお、駆除の施工方法によっては薬剤の効力がさらに短くなるので、シロアリ駆除を依頼する前には施工内容や保証期間、アフターサービスの詳細はしっかり確認しておきましょう。
シロアリ駆除の方法によって保証期間は変わる
シロアリ駆除の保証期間は、「バリア工法」と「ベイト工法」のどちらの工法でおこなうかで変わります。以下で詳しく違いを確認していきましょう。
バリア工法(薬剤散布法)の保証期間は5年間
バリア工法で使用する薬剤の効果は5年間なので、保証期間も最大で5年です。
なお、バリア工法は床下の木材や土壌に薬剤を直接散布してシロアリを駆除します。即効性が高く費用も比較的安価なため、多くのシロアリ駆除にバリア工法が用いられています。
ベイト工法(毒エサ設置法)保証期間は契約による
家の周囲にベイト剤(毒エサ)を入れた容器を埋めて、毒エサを持ち帰ったシロアリを巣ごと死滅させる方法です。
ベイト剤はシロアリが食べたり、雨風で流れたりするため、定期的に補充をします。保証期間は1~5年ですが、定期契約の場合は契約を解消するまで保証が付帯します。
バリア工法よりも価格は高めですが、安全面に優れているため、ペットや小さな子どもがいるご家庭も安心して使用できます。
シロアリ保証の種類
シロアリ駆除の保証には、「施工保証」と「建物の修復にかかった金額の保証」の2種類があります。どちらか一方の保証が付帯している業者と、両方の保証が付帯している業者があるので、再発が心配な場合は両保証が付帯している業者を選ぶといいでしょう。
以下で各保証内容の違いを詳しくご紹介していきます。
施工保証
施工保証とは、保証期間内にシロアリが再発したときの保証です。保証例としては「割引価格での再施工」や「無料での再施工」などがあります。一般的にシロアリ駆除の保証という場合は、施工保証を指すケースがほとんどです。
シロアリの再発時に役立つ保証ですが、素人が再発に気づくのは難しいため、施工後の定期的な無料点検もセットになっている業者を選択したいところです。
建物の修復にかかった金額の補償
再発したシロアリが建物に被害を与えたときに、その修復費用を補償してくれます。適用条件はシロアリ駆除業者や保険会社によって異なり、保証の上限金額も約300万円~1,000万円と幅があります。
なお、ほとんどのシロアリ業者は再発時の再駆除を保証する「施工保証」をつけていますが、この「建物の修復補償」を付帯している業者は多くありません。また、この補償を受けるには、別途費用が発生する場合が多くあります。 建物の修復補償を検討している方は、補償内容や適用条件とともに、加入費用の有無も確認しましょう。
保証期間中でも費用が必要になるケース
下記に当てはまる場合、保証期間内であっても「シロアリ駆除の保証」が適用されないケースもあります。
家の増改築を無断で行った
シロアリ駆除の保証対象はあくまでも「駆除をしたときの家の状態」です。業者に無断で家を増改築すると施工状態が曖昧になるだけではなく、施工した箇所自体がなくなることもあります。不要なトラブルを防ぐためにも、家を増改築する場合は必ず業者に連絡をしてください。
他社に駆除を依頼または自己判断で薬剤を散布した
施工後に自分で薬剤を散布したり、他の業者に駆除を依頼したりした場合は、保証が適用されません。保証が適用されるのは「自社による施工」のみです。
シロアリの再発生原因を放置した
床下の水漏れなどを放置してシロアリが再発生した場合、保証やアフターケアの対象にならないことがあります。保証期間中であっても、シロアリが発生しないように気を配ることが大切です。
保証書に記載がないシロアリが発生した
シロアリ駆除業者は主に「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」による被害保証であり、その他の種類のシロアリ被害は保証対象外です。保証書には対象シロアリが記載されているので、施工後に確認してください。
近年、「アメリカカンザイシロアリ」の被害も増えていますが、多くの業者は保証対象外です。シロアリが再発した場合は業者に連絡して種類を確認しましょう。
雨漏りや水漏れを放置した
保証期間中に発生した雨漏りや漏水などを放置したことによるシロアリの再発は、保証の対象外です。シロアリは湿った木材や床下の湿気を好んで集まってきます。そのため、シロアリが集まるような環境を放置した責任は契約者にあると判断されてしまうのです。
保証を受けるためには、雨漏りや漏水の点検や補修を徹底して、シロアリが発生しない状況を保つ必要があります。
所有者が変わった
シロアリ保証は通常、依頼主に対して発行されます。そのため、家の所有者が変わっても保証の権利は移転しません。
ただし、駆除業者に連絡をすれば保証を引き継げることもあります。中古住宅を購入する際は、シロアリ保証の残存期間や移転などを確認しておいたほうがいいでしょう。
アメリカカンザイシロアリの被害
アメリカカンザイシロアリによる被害は、シロアリ保証の対象外となるケースが少なくありません。ほとんどのシロアリ保証は、在来種の被害だけを保証対象としています。
保証対象 | ・ヤマトシロアリ ・イエシロアリ |
保証の対象外 | アメリカカンザイシロアリ |
アメリカカンザイシロアリは主に輸入された木材から侵入するため、従来の薬剤散布が効きません。また、繁殖スピードが遅く早期発見が困難です。
土のトンネル「蟻道(ぎどう)」を作らずに木材の中を食害するのも大きな問題です。地中を通らないのでベイト工法による対処ができません。 駆除に対応している業者も少なく、費用は「要見積もり」となるケースがほとんどです。
シロアリ駆除の保証はすべての業者で受けられる?
駆除業者によって、保証期間やアフターケアの内容には差異がありますので、必ずしもシロアリ駆除に保証が付いているとは限りません。
また、築年数が経過した古い物件や、シロアリの被害範囲が広い場合などは、完全な駆除が難しいので保証の対象にならないこともあります。
シロアリ駆除を依頼する際には、「施工内容」や「費用」に加えて保証の有無やアフターケアの内容もしっかり確認しましょう。複数の業者から見積もりを取れば比較対象ができるため、費用や施工内容、保証期間などの目安がわかります。 「施工保証書発行」の下記のような内容もチェックしてください。
- 保証期間
- 保証内容
- 補償の適用となるケース
- 保証対象の範囲
など
契約前に保証書の内容を確認したい場合は、サンプルのようなものを事前に見せてもらうといいでしょう。
新築物件も5年目のシロアリ駆除再施工がおすすめ
新築住宅も5年目の再施工がおすすめの理由は、次のとおりです。
- 家の寿命を延ばせる
- 中長期的なコストを抑えられる
- 施工後も定期点検を受けられる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.家の寿命を延ばせる
シロアリ駆除の効果は永久的なものではなく、徐々に効果が薄れてきます。バリア工法の場合は最大でも効果は5年です。
新築でも被害に遭えば、家の構造を傷めてしまいます。被害を放置すれば、家全体の耐久性が低下する恐れもあるのです。
しかし、薬剤が切れる5年目を目処に再施工をすれば、家の寿命を延ばせます。
2.中長期的なコストを抑えられる
シロアリ被害が拡大すると、床や壁に補修に大規模な工事と費用がかかります。被害が天井裏にまで及んだ場合は、家全体の補修が必要になる可能性もあります。
しかし、シロアリ駆除の再施工を定期的に行えば被害を防ぐことができ、結果的にコストを抑えられます。中長期的なコスト削減のメリットは大きいでしょう。
3.施工後も定期点検を受けられる
シロアリ保証には施工後の定期点検も含まれています。点検を受ければ、シロアリの被害拡大を防ぎながら適切な対応を取ることが可能です。
プロの施工であっても再発しないとは限りません。定期点検を受ければ、万が一の事態にも安心して対応できます。
シロアリ10年保証とは
シロアリ10年保証は、工務店やハウスメーカーが新築住宅に対してシロアリ被害を10年間保証する制度です。シロアリ駆除業者の5年保証に自社で5年間の延長をプラスします。
なお、新築以外でも、シロアリ駆除業者が独自に10年保証を設けているケースもあります。
シロアリ10年保証にはメリットとデメリットがあるので、確認しておきましょう。
シロアリ10年保証のメリット
10年保証なら保証期間が延長されるため、シロアリ被害の再発に対する安心感が生まれます。
なお、工務店やハウスメーカーの新築住宅向けシロアリ10年保証でも、最初の5年間はシロアリ駆除業者の保証が適用されます。最初の5年間にシロアリ被害が再発した場合は、シロアリ駆除業者の責任です。6年目から10年目の再発は工務店やハウスメーカーが対応します。
薬剤は最長5年で効果が切れますが、下記のような理由で工務店やハウスメーカーが独自に保証期間を延長しているのです。
・新築は被害リスクが小さい
・被害に遭いにくい技術を採用している
など
シロアリ駆除業者でも、独自に10年保証を設定しているケースがあります。保証を10年間に延長することで信用力と集客力を高めているのです。
シロアリ10年保証のデメリット
10年間の長い保証は安心ですが、工務店やハウスメーカー、シロアリ駆除業者の倒産リスクがあります。倒産した場合は保証を受けられません。
シロアリ駆除業者によっては、10年の保証ではなく「5年保証×2回」で対応していることもあります。この場合は5年後も同じ業者に施工を依頼しなければいけません。2回目の料金は割引されるのが一般的ですが、業者を変えられないのはデメリットになる可能性があります。
10年保証を契約する際には、その内容をしっかりと確認しましょう
安心して保証を受けられるシロアリ駆除業者の選び方
シロアリ再発時の保証を重視したい場合は、以下の点に注意して業者を選びましょう。
保証内容を事前にチェックする
契約前には保証内容を必ず確認しておきましょう。特にチェックしたいポイントは次の3つです。
最大保証限度額
シロアリ被害が発生した場合、業者が補償してくれる最大金額が設定されていますが、中には被害額の保証ではなく、再施行を無償で行う会社もあります。
この限度額は業者によって300万円から1,000万円まで幅があります。結果的に思わぬ出費を防ぐためにも、限度額が高い業者を選ぶことが重要です。
定期点検の回数
再発を未然に防ぐためにも、保証期間内の定期点検回数をチェックしましょう。一般的な定期点検のパターンは下記のとおりです。
・5年に1度
・1、3、5年目に各1回
・毎年1回
定期点検回数の多い業者のほうが安心でしょう。
独自保証の内容
業者によっては、通常の保証に加えて下記のような独自の保証メニューを設けています。
・床下浸水後の防除再処理が無償
・床下漏水後の防除再処理が無償
・浴室リフォーム時の防腐防蟻処理無償
など 大切な家を長持ちさせるためにも、標準の保証内容だけでなく、独自の保証内容もチェックしておきましょう。
駆除費用の安さだけで選ぶのはNG
費用が安い業者は、保証が一切付帯していないこともあります。費用が高くても、施工保証と修復にかかった費用が保証されるのであれば、トータルで考えると安く済むケースもあるでしょう。
駆除費用の安さだけで業者を選ぶと、再発時の出費が高額になるので注意が必要です。
シロアリはプロの業者が丁寧に駆除をしたとしても、再発する可能性がゼロにはなりません。万が一のシロアリ再発に備えるためにも、価格の安さだけではなく、費用と保証の充実度を併せて検討するようにしてください。
過去の実績を確認する
依頼を検討している業者の実績もチェックしておきましょう。施工実績が豊富な業者は対応力も高いため、保証内容に即した再施工をしてもらえます。
シロアリの駆除には、長年の知識や経験が重要です。過去の実績が少ない業者や事例を紹介していない業者は、期待通りの駆除効果を得られない恐れもあります。実績の少ない業者に5年保証が付帯していても、5年後に営業しているかどうかわからないでしょう。
しかし、長年の実績がある業者なら、長期的な保証も安心して受けることができます。
口コミで判断する
業者の評判を確認することは重要です。きちんと保証されたか、どのような保証が提供されたかをチェックすることで安心感が得られます。
ただし、業者のウェブサイトに掲載されている口コミは自作自演の可能性があるため、注意が必要です。口コミを確認する際には、第三者が運営するサイトを見ることをお勧めします。
実際にサービスを利用した人々は、良い点だけでなく悪い点も率直に口コミに書きますので、業者選びの参考になります。例えば、「保証が付帯しているにも関わらず、再発した場合に保証が受けられなかった」といった口コミがある業者は、注意が必要です。
例えば、Googleマップのレビューを見ると、サービス利用者のフィードバックを簡単に見つけることができます。
まとめ
今回は、シロアリ駆除の保証について詳しくご紹介しました。
シロアリ駆除の保証有無や保証内容は駆除を依頼する業者によって異なりますので、依頼する前に必ず保証の付帯を確認しましょう。
ただし、保証が付いていたとしても、施工後に業者へ連絡せず家の増改築を行った場合や、自分で薬剤を追加散布した場合などは保証の適用対象にならない場合があるので注意が必要です。
なお、料金の安さばかり強調する業者は、保証やアフターケアが付いていない場合が多いので、シロアリ駆除の契約前には複数の業者から相見積もりを取って、費用や施工内容を比較するようにしてください。