中古住宅の購入では基礎のチェックが重要!トラブル発生時の対処方法も解説

中古住宅の購入を検討していても、いざ選定を行う際に「建築について詳しくないので、どこをチェックすればいいか分からない」という事態になりがちです。

住宅の中でも、とくに基礎は家を支える重要な部分です。基礎に劣化や破損が発生すると、建物全体の強度が低下してしまいます。大切な家を長持ちさせるためにも、基礎の役割やトラブル発生時の対処法を知っておきましょう。

本記事では、基礎の役割や種類、中古住宅で見つかりやすいトラブルなどについて、詳しく解説していきます。

そもそも住宅の基礎の役割は?

まずは、住宅の基礎の役割と地盤の重要性を確認していきます。

基礎の役割

住宅の基礎には、「建物の重さを地面に伝えて安定を保つ」という重要な役割があります。基礎にヒビや亀裂などが生じていると、建物の重さを支えきれずに住宅が傾いたり、地面に沈んだりすることがあるので注意が必要です

日本は自然災害が多いため、地震や台風で崩壊しない住宅を建てるには、基礎をしっかりと施工しなければいけません。

住宅の基礎は2種類ある

住宅の基礎には主に、「ベタ基礎」と「布基礎(ぬのきそ)」の2種類があります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

【ベタ基礎】

地盤全体に鉄筋コンクリート入りの基礎を配する工法です。建物を「面」で支えるため耐震性が高く、地中からの湿気が建物に伝わりにくいという特徴があります。近年では多くの住宅がベタ基礎を採用していますが、布基礎に比べると施工費用が高額です。

【布基礎】

基礎を柱や壁などの下に打ち込む工法です。建物を「点」で支えます。耐震性能は高くありませんが、施工費用は比較的安価です。ただし、布基礎は古い工法であり、近年の住宅ではほとんど採用されていません。

基礎を作る前は地盤調査が行われる

基礎がしっかりしていても地盤が弱ければ建物の強度が下がるため、基礎を作る前に地盤調査を行ないます。なお、地盤調査の方法には次の3種類があります。

1.SWS試験

主に木造住宅で使われる方法です。深度10mまで測定でき、費用は1か所の調査で2万円ほどと安価です。通常は5か所前後を調査するので、費用の総額は10万円ほどになります。

2.ボーリング調査

基本的な地盤調査方法です。正確な地盤調査ができますが、費用は高額になります。RC造りで中規模以上の建物に使わるため、一般の木造住宅ではあまり使われません。費用の総額は30~80万円前後です。

3.表面波探査法

地中に向けて振動波を発信し、地盤の硬さを調べる方法です。正確性や費用相場はSWS調査とボーリング調査の中間ぐらいになります。

中古住宅を買う前に基礎の寿命を知ろう

基礎の寿命は30年〜40年程度とされています。これは、基礎に用いられる鉄筋コンクリートの寿命です。

コンクリートの寿命は永久的ではありません。コンクリートの中性化が進行して「内部の鉄筋が約20%錆びた時点」で寿命と判断されます。

したがって、築30年を超える中古住宅を購入する際には、基礎の補修や補強が発生する可能性を考慮しておいた方がいいでしょう。

中古住宅で見つかりやすい基礎のトラブル

中古住宅の基礎には「クラック」や「爆裂現象」などのトラブルが起きやすくなります。

ここでは、主な基礎のトラブルを詳しく見ていきましょう。

ヘアークラック

ヘアークラックとは、髪の毛のように細いヒビ割れのことです。具体的には「幅0.3mm未満、深さ4mm未満のクラック」を指します。

建物の強度に大きな影響はありませんが、基礎全体に多くのヘアークラックが発生している場合は、専門業者に点検を依頼した方がいいでしょう。

構造クラック

構造クラックは深刻度の高いひび割れです。「幅0.3mm以上、深さ4mm以上」のクラックが該当します。コンクリート内部の鉄筋にまでヒビ割れが及んでいることが多いため、早急な基礎補強が必要です。

水平方向に走るクラック

ヒビ割れが水平方向に走っている場合は、基礎の劣化が深刻化しています。上下方向のヒビ割れは主に経年劣化が原因ですが、水平方向のヒビ割れは施工不良や周辺環境が原因となるケースが多いので注意が必要です。

基礎の爆裂

基礎内部の鉄筋は、コンクリートの中性化や酸性雨、雨水の侵入などによって膨張します。鉄筋が膨張すると、コンクリートが割れて鉄筋が露出する「爆裂現象」が起こることがあります。爆裂現象が起きた基礎は鉄筋の強度が不足しているため、早めの補修が必要です。

基礎の補修方法と費用相場

強度の低下や劣化が発生している基礎の補修方法と費用の相場を見ていきましょう。

Uカット(Vカット)シーリング工法

樹脂やモルタルをヒビ割れに沿って充填する方法です。幅の広いヒビ割れや深いヒビ割れにも対応できます。費用相場は、ヒビ割れ1カ所につき1~2万円です。

ビックス工法

ゴムチューブ製の特殊な注入器で樹脂を注入する工法です。0.1mmほどの小さなひび割れにも対応できます。費用相場はひび割れ1カ所につき1~2万円です。

アラミド繊維シートの貼り付け

耐久性に優れた素材「アラミド繊維」を使ったシートで基礎を補修する方法です。基礎の補強だけではなく、耐震性の向上にも役立ちます。費用相場は1.5万〜2.5万円/㎡です。

中古住宅によくある床下のトラブル

中古住宅における雨漏りやシロアリ被害は「瑕疵担保責任」が適用されるため、保証期間内のトラブルは修繕費用を売主に請求できます。場合によっては売買契約を無効にすることも可能です。

なお、下記のような不具合や欠陥であれば、瑕疵担保責任の適用範囲となります。

  • 屋根や壁などからの雨漏り
  • 壁内の柱の腐朽
  • シロアリによる食害
  • 地盤沈下
  • 配管の破損

など

ただし、売買契約書や重要事項説明書の内容によっては、瑕疵担保責任が適用されません。中古住宅を購入する際には、事前に契約内容を確認しておくことが何よりも重要です。

それでは、主な床下トラブルを見ていきましょう。

シロアリ被害

床下がシロアリの食害に遭っているケースです。シロアリ被害は瑕疵担保責任の適用範囲となるため、被害に気づいたら売主や不動産会社に連絡をしましょう。

カビ・木材腐朽菌の繁殖

カビや木材腐朽菌の繁殖も瑕疵担保責任が適用範囲となります。ただし、「床下や洗面所の一部にカビが発生していた」というような軽微なケースは適用対象となりません。このような場合は、ご自分でカビ除去を行う必要があります。

漏水・雨漏り

漏水や雨漏りも瑕疵担保責任の適用範囲内です。ただし、中古住宅の漏水や雨漏りは築年数や取引相手によって責任負担の考えが異なるため、まずは売主や不動産会社に連絡・確認をしてください。

断熱材の脱落や破損

購入後に断熱材が機能していないことが発覚した場合も、瑕疵担保責任の適用対象となることがあります。トラブルが発生した際には、契約内容を確認したうえで現状を写真や動画に収め、早めに連絡をすることが大切です。

まとめ

中古住宅は、経年劣化によって基礎にさまざまなトラブルが発生している可能性があります。基礎は家を支える大切な部分なので、劣化や損傷に気づいたら早めに点検・修理を依頼してください。

床下のシロアリ被害や雨漏り、カビなどの被害は、瑕疵保険責任が適用されて売主の負担になります。適用範囲や保証期間は物件によって異なるため、契約内容を確認したうえで適切な対応をしましょう。

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