シロアリの防除が必要な住宅とは?防除の仕方や費用を解説

シロアリは、エサが豊富で暗く湿気のある場所なら、どこにでも棲みつきます。特に住宅の床下は、シロアリが好む環境になりやすいので注意しなければいけません。シロアリ被害を防ぐためには、定期的な予防が大切です。また、シロアリを駆除した後の再発予防も欠かせません。

シロアリを防ぐためには、予防と駆除をセットで考える「防除」が重要なのです。そこで今回は、シロアリの防除方法、防除の費用などについて詳しくご紹介していきます。

シロアリの防除とは?

シロアリ対策には、シロアリを未然に防ぐ「予防」と、被害に遭った際の「駆除処理」の両方が必要になります。この二つの対策をあわせて「防除」といいます

なお、「予防」と「駆除」には、以下のような違いがあります。

予防駆除
目的シロアリ被害を防ぐ発生したシロアリの駆除
費用業者の種類、面積、薬剤などにより異なる業者の種類、面積、薬剤、被害の場所や規模によっては高額になることも

シロアリ防除の必要性

予防はあくまでも「被害を防ぐ」ことが目的です。ただし、どんなに万全を期したつもりでも、シロアリが発生してしまうことがあります。シロアリが発生した場合は、すぐに駆除をして被害の拡大を防がなければいけません。

シロアリの発生に気づかず放置していると被害が大きくなり、駆除費用も高額になります。思わぬ出費を防ぐためにも、「防除」をセットで考えることが大切です。

シロアリの防除はこの2種類

シロアリの防除方法には、「ベイト工法」と「バリア工法」の2種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

<ベイト工法>(毒エサの設置)

エサに駆除剤を混ぜた「ベイト剤」をシロアリに食べさせて駆除する方法です。ベイト剤は専用の容器に入れて、周囲の地面に埋めておきます。シロアリはベイト剤を巣に持ち帰って仲間と食べるため、巣にいるシロアリを全滅させることが可能です。

ベイト工法には、以下のようなメリットがあります。

  • 人体やペットに害がない
  • 設置している間は効果が続く
  • 薬剤のニオイがしない

ただし、シロアリがベイト剤を巣に持ち帰ってから全滅するまでには時間がかかるので、即効性は期待できません。したがって、すでに被害を受けている可能性がある場合は、次に紹介する「バリア工法」を施すのがいいでしょう。

<バリア工法>(薬剤散布法)

従来から一般的に行われている方法です。薬剤を建物の壁や木材などに直接散布して、シロアリが寄り付かないようにします。床下の土壌に隙間なく薬剤を撒けば、地中から侵入するシロアリも防げます。

バリア工法には、以下のようなメリットがあります

  • 即効性が高い
  • 1度散布すれば約5年間は効果が持続する
  • 費用が比較的安い

ただし、バリア工法は巣の根絶が目的ではないので、薬剤を散布しなかった場所からシロアリが侵入してくる可能性があります。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、被害状況に応じた対処方法を選ぶことが大切です。すでにシロアリによる被害が起きている場合は「バリア工法(薬剤散布法)」を、長期的な目でシロアリ対策をするなら「ベイト工法(毒エサの設置)」を選択するといいでしょう。

シロアリの防除工事の流れ

ここからは、シロアリ防除工事の具体的な流れを紹介していきます。

バリア工法の流れ

バリア工法施工当日の流れは、下記のとおりです。

  1. 床下と屋内のシロアリ生息場所を再確認
  2. 見積もり内容の再確認
  3. 木材や土壌などへの薬剤散布
  4. 片付け、掃除
  5. 作業完了報告

バリア工法の作業時間は被害箇所や家の広さにもよっても異なりますが、5~7時間前後になります。

ベイト工法の流れ

ベイト工法施工当日の流れは、下記のとおりです。

  1. 床下と屋内のシロアリ生息場所を再確認
  2. 見積もり内容の再確認
  3. 薬剤の設置
  4. 片付け、掃除
  5. 作業完了報告

ベイト工法の作業時間は薬剤の設置数や敷地の広さにもよっても異なりますが、2~4時間前後です。

シロアリの防除は自分でできる?

簡単なシロアリ予防なら、ご自分でも可能です。具体的には、「家の近くにシロアリのエサになる木材などを置かない」「湿気が床下に溜まらないよう、風通しを良くする」などが考えられるでしょう。

しかし、ご自分での予防は、すでに被害が進んでいてもシロアリの痕跡を見逃してしまう場合があるので、シロアリの発見が遅れるリスクがあります。
また、シロアリの完全駆除は専門的な知識や技術が必要になるため、素人には不可能といえるでしょう。本格的なシロアリの防除は、必ず専門の業者に依頼してください。

シロアリ防除の費用は条件によって変わる

なお、シロアリ防除の費用は、次のような条件によって金額が変わります。

  • 業者の種類
  • 使用する薬剤
  • 建物の構造
  • 施工場所
  • 被害状況

それぞれ詳しく解説していきます。

業者の種類

シロアリ防除費用を決める大きな要素のひとつに業者の種類があります。具体的な違いは、下表のとおりです。

業者の種類費用相場(1㎡あたり)費用相場(1坪あたり)
大手上場企業&JA(農協)系3,000円~10,000円~
地域密着型1,500円~3,000円5,000円~10,000円
ネット集客型1,000円~3,500円~
個人経営型850円~2,500円~

各業者の特徴を見ていきましょう。

・大手上場企業&JA(農協)系

事業規模は大きいですが、コストがかさむため費用が高くなる傾向にあります。

・地域密着型

中規模の業者です。料金は一律ではなく、状況に応じて柔軟に設定する傾向にあります。

・ネット集客型

ネット広告などで集客しているタイプの業者です。実際には他社に委託契約をしていることも多いため、費用や技術には大きな違いがあります。

・個人経営型

個人が独立開業した業者です。価格は安めですが、シロアリ防除のレベルは業者によって全く異なります。なお、個人経営型は施工保証が無かったり、保証があっても廃業によって保証が受けられなくなったりするケースがあります。

使用する薬剤

シロアリ駆除の費用は薬剤、つまり、工法によっても変わります。おおよその費用相場は下記のとおりです。

バリア工法ベイト工法
1㎡ 1,000〜2,000円外周1m 6,500円+メンテナンス費用

ベイト工法は設置した毒餌の状態を定期的に確認しなければいけないので、メンテナンス費用がかかります。そのため、総額で見るとベイト工法の方が費用は高くなります。

建物の構造

木造やRC造、鉄骨造などの基本的な構造も、費用を左右する要因です。床下の広さや床下点検口の有無、基礎断熱かどうかなども駆除の難易度に関わってくるので、費用に影響します。

施工場所

施工する範囲が広くなるほど費用は高くなります。施工面積は床下だけでなく、壁や柱なども含まれるので注意しましょう。

被害状況

被害状況が深刻であるほど、費用は高くなります。被害状況が深刻であるにもかかわらず費用が安い場合は、業者の技術レベルが低い可能性があるので気をつけましょう。

シロアリ防除の工事費用は減価償却できる?

シロアリ防除費用を「資本的支出」として計上すれば減価償却できます。「修繕費」であるなら減価償却はできません。シロアリ防除費用が「資本的支出」と「修繕費」のどちらになるのかは、施工内容や税務署の判断によって変わります。

なお、資本的支出とは、「物件の資産価値を高めて、使用できる年数を伸ばすための支出」のことです。一方、修繕費は「物件の価値を元に戻すための支出」を指します。賃貸経営をしているオーナーは、ぜひ参考にしてください。

シロアリ防除は5年に1度がおすすめ

シロアリの防除は5年ごとがベストです。なぜなら、シロアリ駆除に使用される薬剤の効果の持続期間が約5年だからです。

以前までは長期的に効果が発揮される薬剤も使われていましたが、近年人体への影響を考えて薬効が薄くなっているため、最長でも5年となっています。また、薬剤の効果をチェックするために、1年ごとの点検もおこないましょう。

優良業者なら、薬剤の効果を保証する「5年保証」が付いているので、業者選びの目安になります。アフターメンテナンスに「定期的な無料点検」が含まれていれば、金銭面でも安心です。

まとめ

安心して家に住み続けるためには、シロアリの予防と、シロアリが発生した際の徹底的な駆除をセットで考えなくてはいけません。

シロアリの防除方法には、主に2種類があります。

・駆除剤を混ぜた毒エサをシロアリに食べさせて、巣ごと全滅させる「ベイト工法」
・薬剤を床下や土壌などに直接散布する「バリア工法」

ご自分でできるシロアリの予防策としては、「家の周囲にエサとなる木材やダンボールを置かない」「床下の風通しを良くする」などがありますが、あくまでも簡易的なものです。

本格的なシロアリ対策を個人で施すのは難しいので、必ず専門業者に防除と定期的な点検を依頼することをおすすめします。

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