耐震基礎補強の重要性と費用相場を詳しく解説|気をつけたい家の特徴とは?

「家の基礎にひびが入っている」

「基礎コンクリートに鉄筋が入っていない」

「築30年以上が経過している」

このような家の基礎は、劣化し脆くなっている可能性があるので補強を検討する必要があります。

地震から家を強くする「耐震補強」は基本的に柱や梁、壁などに行われますが、地震のエネルギーや建物の荷重を支える「基礎」も大変重要です。壁や柱の耐震性が高くても、基礎が脆ければ地震などによって家は土台から崩れる可能性があります。

そこで今回は、基礎補強が必要な家の特徴や、基礎補強工事の方法などについて、詳しく解説していきます。

基礎の耐震補強工事とは

基礎に生じた亀裂の補修や、基礎コンクリートの打ち直しなどの工事が「基礎補強」です。

基礎は家を支える大切な部分ですが、施工不良が無くてもさまざまな理由で強度は低下します。とくに、基礎のひび割れには注意が必要です。

ひび割れ箇所から基礎コンクリートの内部に酸素や水分が入り込むと鉄筋が酸化して錆びてしまい、事実上の「寿命」となります。最悪の場合は、鉄筋が基礎コンクリートの外に露出する「爆裂現象」を起こします。

「基礎はコンクリートでできているから丈夫だろう」と考えられがちですが、劣化は避けられないため、定期的な点検と補強は欠かせません。

日本は地震大国なので、住宅には高い耐震性能が不可欠です。耐震性が不足していると、地震が起きた際に倒壊する恐れもあります。

基礎の寿命は約30年といわれていますが、適切なメンテナンスをおこなうことで寿命を長く引き延ばすことも可能です。逆に、必要なメンテナンスを怠れば一般的な寿命を待たずに深刻な影響が現われることもあります。

水分やコンクリートの中性化などによる基礎の劣化は避けられません。そのため、外観に問題がなくても、専門業者による定期的な点検と補強は必須といえるでしょう。早めの点検で問題が見つかれば、補修費用も少額で済みます。

基礎補強が必要な家の特徴

基礎補強が必要な家には、次のような特徴があります。

・基礎に鉄筋が入っていない「無筋基礎」の家

・基礎にひび割れが発生している家

・近くに海、川、池などがある家

・施工不良が見られる家

・鉄筋に爆裂現象が起きている家

それぞれ詳しく見ていきましょう。

基礎に鉄筋が入っていない「無筋基礎」の家

基礎コンクリートの内部には鉄筋を入れることが義務付けられたのは、1981年5月に実施された建築基準法の改正後です。改正前に  建てられた家の多くは鉄筋が入っていない「無筋住宅」で基礎の強度が弱く、震度5の地震でも倒壊するリスクがあります。

古い耐震基準に基づいた住宅は、基礎補強が行われていないことも少なくありません。建物の上部構造だけ補強しているケースも目立ちます。

上部構造体の補強だけでは基礎の安定感は高まらないので注意しましょう。そのままにしておくと、地震の影響で基礎が崩れたり、土台から抜けたりする可能性があります。古い住宅をリフォームする際には、必ず基礎補強工事を検討しましょう。

基礎にひび割れが発生している家

基礎にクラックと呼ばれるひび割れが生じている家も要注意です。ひび割れは広がり続けるので、次第に基礎が傾き家に歪みが発生します。放置しておけば家全体の寿命が短くなり、地震の影響で倒壊する危険性も高まります。

近くに海、川、池などがある家

海や河川などが近くにある家は、湿気によって基礎コンクリートの劣化が早まります。湿気が床下に溜まるとカビやシロアリが発生し、健康被害や家全体の強度低下を引き起こすので注意しましょう。

カビの臭いがしたり、家の中でシロアリを見かけたりした場合は早めの対策が必要です。

基礎コンクリートの寿命は一般的には約30~40年ですが、環境や条件によっては劣化が早まります。近くに海、川、池などがある家は劣化が早まる条件が揃っているので、早めの基礎補強工事を検討したほうがいいでしょう。

施工不良が見られる家

施工不良が見られる家は建物の安定性が低くなり、地震の力に対して脆弱になります。基礎補強工事を行えば半永久的に強度が確保されるので、早めの施工がおすすめです。

ただし、基礎の状況によって施工の必要性は異なります。施工不良が気になる場合は、専門家に建物の調査を依頼したうえで適切な判断をしましょう。

鉄筋に爆裂現象が起きている家

基礎内部の錆びた鉄筋が膨張してコンクリートが破壊されることを「爆裂現象」と呼びます。

爆裂現象が起きる流れは次のとおりです。

  1. 外部からの荷重や地震、経年劣化などが原因で基礎コンクリートにひび割れが発生する
  2. ひび割れた箇所から水分や空気などが入り込む
  3. 鉄筋が錆びて膨張し、外部に露出する

爆裂現象が進行すると基礎の抵抗力が弱まり、建物全体の強度が低下してしまいます。

基礎補強工事の方法

基礎補強工事には、主に次のような方法があります。

・アラミド繊維シート貼りつけ

・ビックス工法

・Uカットシール工法

・基礎増し打ち

・布基礎からベタ基礎に変える

それぞれ詳しく見ていきましょう。

アラミド繊維シート貼りつけ

「アラミド繊維シート」という引張強度の高い素材を、基礎コンクリートに貼りつける方法です。コンクリートは上からの荷重に耐えますが、横揺れの引張り力には弱いため、アラミド繊維シートで横揺れ時の負荷を軽減させます。

アラミド繊維シートは軽量で錆びず、耐水性と耐熱性に優れているという特徴もあります。

ビックス工法

細かいひび割れの補修で用いられる工法です。基礎の表面を保護しながら強度を高める「エポキシ樹脂」を注入して補修します。幅が0.1mm以下のひび割れにも対応できるため、早期補修にも最適です。

Uカットシール工法

幅が広いひび割れの補修に使われる工法です。専用の電動工具でひび割れ部分をU字型(V字型)にカットしてシーリング材を充填します。ひび割れが再発しても、充填されているシーリング材によって、内部へのひび割れを防ぐことが可能です。

基礎増し打ち

弱くなった基礎の隣に新たな鉄筋を組んで、一体化・補強する方法です。屋内側、屋外側のどちらから補強するのかは、条件によって異なります。古い家の耐震性能を高めたいときにも有効です。

布基礎からベタ基礎に変える

古い住宅に多い布基礎をベタ基礎に変える方法です。基本的には増改築や全面リフォームの際に建物を解体して行ないますが、業者によっては解体をせずに施工します。

古い布基礎の家は震度6~7の地震で崩壊する恐れがあるため、耐震補強をする際には「基礎の増し打ち」か「ベタ基礎へのリフォーム」を検討したほうがいいでしょう。

基礎補強工事の費用相場や工期は?

基礎補強工事の費用と工期の目安を詳しく見ていきましょう。

アラミド繊維シート貼りつけの費用相場と工期

基礎の耐震補強でアラミド繊維シート貼りつけ工事を行う場合の費用相場は2万円〜3万円/mです。工期は1〜3日前後になります。

ビックス工法の費用相場と工期

基礎の耐震補強をピックス工法で行なう場合の費用相場は1~2万円(1箇所)です。工期は3日前後になります。

Uカットシール工法の費用相場と工期

基礎の耐震補強をUカットシール工法で行なう場合の費用相場1~2万円(1箇所)です。簡易的なものであれば1日程度で完了します。

基礎増し打ちの費用相場と工期

基礎増し打ちによる耐震補強工事の費用相場は6~8万円/mです。工期は1箇所2~3日ほどになります。ただし、基礎全体を補強する場合は1か月前後かかります。

布基礎からベタ基礎に変える場合の費用相場と工期

布基礎をベタ基礎に変えて耐震補強する際の費用相場は、100~300万円前後です。工期は2~4日になります。施工範囲や基礎の状況などによっても費用は大きく異なるので、事前に確認しておきましょう。

まとめ

今回は、地震から家を守るために必要な基礎補強工事について詳しくご紹介しました。

コンクリートは必ず経年劣化するため、耐震性能を維持するための定期的な点検と補強が必要です。とくに、基礎のひび割れはコンクリートの劣化を早めるので、放置しないようにしましょう。

1981年5月以前に建築された家のほとんどは基礎コンクリートに鉄筋が入っていないので、震度5程度の地震でも倒壊する可能性があります。無筋基礎の耐震性は極めて低いので、早急に補強を検討してください。

基礎の耐震性が気になるという方は、早めに専門業者の点検を受けましょう。相談や点検、診断は無料なので、まずは気軽に問い合わせてみてください。

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