
古い住宅の基礎にブロックが使われていると、「地震が来ても大丈夫なのか」「補強工事をしたほうがよいのか」と不安に感じる方もいるでしょう。
ただし、ブロック基礎だからといって、すべての住宅ですぐに補強工事が必要になるわけではありません。
この記事では、ブロック基礎の特徴、補強を検討したほうがよい症状、主な工法、費用・工期の目安を解説します。点検を依頼すべき状態かや、補強工事を進めるべきか判断しやすくなります。
ブロック基礎とは?補強が必要と言われる理由
住宅のブロック基礎は、敷地の境界などに設置されるブロック塀とは異なり、住宅を下から支える部分です。まずは、現在一般的な基礎との違いを確認しましょう。
ブロック基礎とは
ブロック基礎とは、コンクリートブロックなどを積み上げて造られた住宅の基礎です。主に古い木造住宅や、後から増築された部分などで見られます。
基礎には、住宅の重さを支え、地震や強風で建物に加わった力を地面へ伝える役割があります。そのため、ブロックの強度だけでなく、次のような点も重要です。
- ブロックの内部に鉄筋が入っているか
- ブロックの空洞にコンクリートなどが詰められているか
- ブロック同士がしっかりつながっているか
- 基礎と住宅の土台が固定されているか
これらは外から見ただけでは分からない場合があります。見た目に問題がなくても、図面や専用の機器を使った調査が必要になることがあります。
実際の住宅では、外から見ただけでは鉄筋の有無やブロック内部の状態が分からないケースもあります。補強の必要性を判断する際は、目視だけでなく、図面や専用の機器などを用いて状態を確認することが重要です。
鉄筋コンクリート基礎との違い

現在の木造住宅では、鉄筋を組んだうえでコンクリートを流し込む「鉄筋コンクリート基礎」が一般的です。
ブロック基礎との主な違いは、次のとおりです。
| 比較項目 | ブロック基礎 | 鉄筋コンクリート基礎 |
|---|---|---|
| 造り方 | ブロックを積み上げる | 組んだ鉄筋の周りにコンクリートを流し込む |
| つながり方 | ブロックの目地や内部の施工状態に左右される | 適切に施工されていれば全体が一体になりやすい |
| 鉄筋 | 入っていない場合や、本数が分からない場合がある | 設計に基づいて配置する |
| 確認する症状 | 目地の割れ、ブロックのずれ、欠けなど | ひび割れ、表面の剥がれ、鉄筋のさびなど |
コンクリートやブロックは、住宅の重さを上から支えることには向いています。一方、地震で横方向に強く揺さぶられると、ひび割れたり、つなぎ目が壊れたりすることがあります。
鉄筋には、このような横揺れによる破損を抑える役割があります。そのため、鉄筋が入っていないブロック基礎や、内部が十分に補強されていない基礎では、地震に対する強さを詳しく調べる必要があります。
ブロック基礎を補強したほうがよい理由

ブロック基礎の補強を検討する主な理由は、地震の揺れを受けたときに、基礎が建物を支えきれなくなる可能性があるためです。
ただし、ブロック基礎だけを補強すれば、住宅全体の耐震性が必ず高まるとは限りません。地震に対する強さは、基礎だけでなく、柱、壁、屋根、接合金物、地盤などにも左右されるからです。
実際の現場でも、基礎だけの状態を見て判断するのではなく、柱や壁、地盤など建物全体の状態を確認したうえで、必要な補強方法を検討します。
ブロック基礎に補強が必要か判断するポイント
補強が必要かどうかは、築年数や一つの症状だけでは決められません。ただし、次の項目に該当する場合は、専門家による点検を検討しましょう。
1981年以前に建築された住宅
1981年5月31日以前に建築確認を受けた住宅は、一般に「旧耐震基準」で建てられた住宅です。旧耐震基準とは、現在より前の耐震基準を指します。
国土交通省は、旧耐震基準の建物には地震に対する強さが不足しているものが多いとして、耐震診断を推奨しています。
(国土交通省:住宅・建築物の耐震化について)
ただし、1981年以前に建てられたからといって、必ずブロック基礎の補強が必要になるわけではありません。建築後に耐震改修が行われている場合もあるため、次の資料が残っていないか確認しましょう。
- 建築時の設計図
- 確認済証や検査済証
- 耐震診断の報告書
- 増築やリフォームの記録
- 過去の基礎補修・補強の記録
基礎に鉄筋が入っていない
鉄筋が入っていない基礎は、地震によってひび割れたときに、破損が広がりやすい可能性があります。そのため、鉄筋の有無は補強を判断する重要な材料です。
ただし、基礎の表面を見ただけで鉄筋の有無を確認することはできません。設計図が残っていない場合は、専門業者が鉄筋探査機などを使って調べます。
鉄筋が見つかった場合でも、本数や間隔が十分とは限りません。「鉄筋があるか」だけでなく、「住宅を支えるために必要な状態になっているか」まで確認してもらいましょう。
基礎にひび割れが発生している
基礎にひび割れ(クラック)があっても、すべてが危険な状態とは限りません。表面の仕上げだけが割れている場合もあれば、基礎そのものに問題が生じている場合もあります。
特に、次のようなひび割れには注意が必要です。
- ひび割れが広がっている
- 同じ場所に何度もひび割れが生じる
- 斜めや横方向に長く割れている
- ブロックのつなぎ目に沿って割れている
- ひび割れから水が入っている
- 床の傾きやドアの開閉不良も起きている
ひび割れを見つけたら、位置や大きさが分かるように写真を撮り、日付とともに記録しておくとよいでしょう。時間の経過とともに広がっているか確認しやすくなります。
基礎に爆裂現象が起きている
爆裂現象とは、基礎内部の鉄筋がさびて膨らみ、周囲のコンクリートやモルタルを押し出す現象です。
次のような症状が見られる場合は、爆裂が起きている可能性があります。
- 基礎の表面が浮いている
- コンクリートが剥がれ落ちている
- 内部の鉄筋が見えている
- 鉄筋の周囲に赤茶色のさびがある
表面だけをモルタルで塗り直しても、内部にさびが残っていれば劣化が進む可能性があります。傷んだ部分を取り除き、鉄筋のさびを処理したうえで補修する必要があります。
基礎に傾きや沈下が見られる
住宅の一部が沈み、基礎や床が傾くことを「不同沈下」といいます。建物全体が均等に沈むのではなく、場所によって沈み方が異なる状態です。
次のような症状がある場合は、基礎だけでなく地盤に問題がないか確認しましょう。
- 床の上で物が一方向へ転がる
- ドアや窓が開けにくい
- ドアが自然に開閉する
- 基礎や外壁に斜めのひび割れがある
- 基礎と地面の間に隙間がある
地盤の沈下が原因の場合、ひび割れを埋めたり、基礎を厚くしたりするだけでは解決できません。建物の傾きを測定し、必要に応じて地盤補強や沈下を直す工事を検討します。
湿気が多く基礎が劣化している
床下に湿気がたまっていると、基礎だけでなく、住宅を支える木材や金属部品にも影響が及びます。
例えば、木材が腐る、金属部品がさびる、シロアリが発生するといった問題につながる可能性があります。次のような点を確認しましょう。
- 床下が常に湿っている
- 水漏れや雨水の入り込みがある
- 床下換気口がふさがれている
- 土台や床下の木材が変色している
- カビ臭さや腐ったようなにおいがする
湿気が劣化の原因になっている場合は、基礎補強とあわせて、水漏れの修理、排水の改善、床下の防湿対策などが必要です。
ブロック基礎を補強する方法
ブロック基礎の主な補強方法には、コンクリートを追加する方法や、強度の高いシートを貼る方法があります。どの工法が適しているかは、基礎の状態や補強する範囲によって異なります。
基礎増し打ち補強
基礎増し打ち補強とは、既存のブロック基礎の横に鉄筋を配置し、新しいコンクリートを追加する方法です。
既存の基礎と新しいコンクリートを金属部品などでつなぎ、基礎を厚くして補強します。鉄筋が入っていない基礎や、広い範囲を補強したい場合に検討される工法です。
一方、次のような住宅では工事が難しくなったり、費用が高くなったりすることがあります。
- 床下が狭く、作業員が入れない
- 配管や設備が基礎の近くにある
- 基礎の周囲を掘るスペースがない
- ブロックの劣化が激しい
- 建物を一時的に支える作業が必要になる
基礎増し打ちは、コンクリートを追加するだけの工事ではありません。既存の基礎と新しい部分をどのようにつなぐかが重要なため、工事方法を見積書や図面で確認しましょう。
アラミド繊維シートによる補強

アラミド繊維シートとは、高い強度と軽さを兼ね備えた繊維を使用した補強材です。専用の樹脂で既存の基礎表面に貼り付けることで、基礎を補強し、ひび割れの進行を抑えます。
既存の基礎を大きく壊したり、新たにコンクリートを増し打ちしたりする必要がないため、比較的短期間で施工しやすく、建物への負担を抑えながら補強できるのが特徴です。
アラミド繊維シート補強に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
基礎補強はアラミド繊維シートが最適!メリットや施工方法・費用を徹底解説
ブロック基礎の補強工事にかかる費用・工期は?
補強工事の費用は、工法だけでなく、補強する範囲や床下の作業環境によって変わります。相場だけで予算を決めず、現地調査後の見積もりを確認することが重要です。
| 工事方法 | 費用の目安 | 工期の目安 |
|---|---|---|
| 基礎増し打ち補強 | 1m当たり約6万~8万円 | 1か所当たり約2~3日 |
| アラミド繊維シート補強 | 1㎡当たり約1万5,000~2万5,000円 | 約1~3日 |
ブロック基礎を補強するときの注意点
基礎補強で大切なのは、目に見える傷だけを直すのではなく、なぜ傷んだのかを調べることです。工事を契約する前に、次の点を確認しましょう。
基礎の状態を専門家に確認してもらう
基礎に気になる症状がある場合は、建築士や、古い住宅の基礎補強に対応できる専門業者へ点検を依頼しましょう。
点検では、次のような項目を確認してもらいます。
- ひび割れの位置、大きさ、深さ
- ブロックのずれや欠け
- 鉄筋の有無
- 基礎の傾き
- 水漏れや床下の湿気
- 木材の腐りやシロアリ被害
- 地盤沈下の可能性
調査後は、写真や測定結果が載った報告書を受け取ると、工事の必要性を検討しやすくなります。
「すぐ工事をしないと倒壊する」などと不安をあおり、その場で契約を求める業者には注意しましょう。可能であれば、複数の業者や建築士に意見を聞くことも一つの方法です。
耐震診断もあわせて検討する
地震に対する住宅の強さは、基礎だけでは判断できません。基礎を補強しても、壁が少ない、柱と梁のつながりが弱い、木材が腐っているといった問題が残っていれば、住宅全体として十分な対策にならない場合があります。
特に1981年5月以前の住宅では、基礎の点検とあわせて耐震診断を検討しましょう。
自治体によっては、古い木造住宅の耐震診断や耐震改修に補助金を設けている場合があります。対象となる住宅や申請期限は地域によって異なります。
工事を始めた後では申請できない制度もあるため、契約前に住宅のある市区町村へ確認してください。
表面的なひび割れ補修だけで判断しない
基礎のひび割れを樹脂やモルタルで埋めると、見た目はきれいになります。しかし、ひび割れの原因が地盤沈下や鉄筋不足にある場合、表面だけを直しても根本的な問題は残ります。
見積もりを確認するときは、業者へ次の点を質問しましょう。
- ひび割れが生じた原因は何か
- 今回の工事は補修と補強のどちらか
- なぜこの工法を選んだのか
- どこからどこまで工事するのか
- 基礎以外にも耐震工事が必要か
- 工事後の点検や保証はあるか
分からない専門用語が見積書にある場合は、そのままにせず、写真や図を使って説明してもらいましょう。
ブロック基礎の劣化が気になったら早めに点検・補強を
ブロック基礎が使われているだけで、すぐに補強工事が必要とは限りません。まずは鉄筋の有無や基礎の劣化状態を調べることが大切です。
特に、1981年5月以前に建てられた住宅、ひび割れやブロックのずれがある住宅、床の傾きが見られる住宅は、専門家による点検を検討しましょう。
補強方法には、コンクリートを追加する増し打ち補強や、アラミド繊維シートを貼る方法などがあります。適した工法は基礎の状態によって異なるため、費用の安さだけで選ぶことは避けましょう。
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