ベタ基礎でもシロアリは侵入する!知っておきたい対策方法3つ
ベタ基礎で建てられた家はシロアリ被害に遭わないと言われていますが、条件によってはシロアリが侵入するケースもあります。シロアリは放置しておくと多大な被害を受ける可能性があるので、事前の対策は欠かせません。
そこで今回の記事では、ベタ基礎でもシロアリ被害に遭う理由や、シロアリ被害に有効な対策方法をご紹介します。
そもそもベタ基礎とは?
「基礎」とは、家の重さを地面に伝える部分です。基礎には、家の重さを地面へ均等に伝えて、沈下や損傷を防ぐ大切な役割があります。なお、通常の木造住宅建築では、基礎に「布基礎」か「ベタ基礎」が採用されます。
どちらもあまり聞き慣れない用語だと思いますので、まずはそれぞれの違いを解説していきます。
ベタ基礎の解説
ベタ基礎とは、壁の部分だけではなく、床下全体にコンクリートを打って作られた基礎です。地盤と接する部分が広く、家の荷重が分散されやすいので、安定感に優れています。
建物が重い場合や軟弱地盤の上に家を建築する場合にはベタ基礎の選択が必須です。また、コンクリートで床下一面を覆うベタ基礎は、地中から床下に侵入してくるシロアリ対策にも有効と考えられています。
ただし、ベタ基礎であっても、築年数の経過とともにシロアリの被害の発生確率は高まります。
参照:日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合「シロアリ被害実態調査報告書」
上記のグラフは、シロアリ保証切れ後に再施工しなかった物件が、シロアリ被害に遭った確率です。築年数が5~9年では5.0%ですが、25~29年では18.5%となり4倍近くの増加が見られます。築年数が15年を超えると被害確率が急激に上がるので注意が必要です。
築年数が25年を超えた場合は、約5件に1件がシロアリ被害に遭っています。古い家屋は、定期的な点検と適切な防除が不可欠と言えるでしょう。
布基礎の解説
壁に沿ってコンクリートを打っていくのが布基礎です。布基礎は床下が低くなるので風通しが悪く、湿気も多くなりがちなので、シロアリが発生しやすいとされています。
ベタ基礎でもシロアリが侵入する6つの経路とその対策
シロアリが侵入する複数の経路とその対策について解説します。
セパレーター金具からの侵入
ベタ基礎の工事では、コンクリートを流し込む際に型枠を固定するセパレーター金具を使います。
この金具は工事完了後も基礎に残されたままになることがあり、時間の経過とともに周囲にわずかな隙間ができます。この隙間からシロアリが侵入するのです。
ひび割れからの侵入
コンクリートは丈夫な素材ですが、時間の経過や地盤の変動、温度変化などによってひび割れが生じます。
小さなひび割れでもシロアリにとっては格好の侵入経路です。シロアリは体が柔らかく、小さな隙間でも通り抜けてしまいます。
水抜き穴からの侵入
ベタ基礎の施工時には、工事期間中の雨水を排出するための水抜き穴を設けます。工事が完了すると水抜き穴を埋めるのが一般的ですが、そのまま残されていることもあります。この水抜き穴が、シロアリの侵入経路になってしまいます。
配管からの侵入
配管が基礎を貫通している箇所に隙間があると、そこからシロアリが侵入します。ガス管やPF管、アース線なども侵入経路になるので注意が必要です。
水道管や排水管が水漏れを起こしている場合は、シロアリが好むジメジメとした環境になってしまうケースも少なくありません。
玄関や勝手口からの侵入
ドアの下部や周辺に小さな隙間ができると、そこからシロアリが侵入します。木製のドア枠はシロアリの餌にもなるので気をつけましょう。
玄関とポーチが一体になっている構造や、基礎とポーチがつながっている玄関もシロアリが侵入しやすくなります。土間と勝手口も、同様の理由でシロアリの侵入リスクが高くなる場所です。
断熱材から侵入
基礎外断熱が施行されている家では、シロアリが断熱材を通って侵入する被害例があります。
基礎内断熱の被害は多くありませんが、シロアリの侵入する可能性はゼロではありません。断熱材と基礎の間に隙間ができてしまうと、シロアリの侵入経路になってしまいます。
近年では防蟻断熱材を使うのが一般的ですが、経年劣化によって隙間が生じれば侵入経路になることに変わりはありません。なお、床の下に直接断熱材を設置する「床断熱」はシロアリの侵入とは無関係です。
ベタ基礎でもシロアリ対策は必須!有効な6つの方法を紹介
ベタ基礎で有効なシロアリ対策方法を6つご紹介いたします。
土壌処理
地面に薬剤を散布して、地中からのシロアリ侵入を防ぐ方法です。薬剤の効果は5年前後で薄れてきてしまうので、定期的に土壌処理をしなければいけません。
自立換気
高性能な換気システムを導入する方法です。床下と建物内部の換気を促す効果があるため、湿気対策にも役立ちます。なお、自立換気を導入している住宅は「自立循環型住宅」と呼ばれます。
壁体内通気(外壁通気工法)
壁内部の湿気が引き起こす木材の腐朽を防ぐ工法です。外気を取り入れるための通気層を壁の内部に設置して湿気を排出するので、シロアリが好む環境を防ぐことができます。
短いセパレーター金具の使用
短いセパレーター金具を使えば、シロアリの侵入リスクを減らせます。工事完了後にセパレーター金具を取り除き、その跡を適切に処理することも大切です。
ベタ基礎の家を建てる場合は、セパレーター金具の扱いについて施工業者と相談したほうがいいでしょう。
水抜き穴を埋める
ベタ基礎の工事が完了すれば、水抜き穴は不要になるのが一般的です。穴を塞いでも特に問題はありません。
シロアリの侵入を防ぐためにも、業者と相談して水抜き穴を塞いでもらうようにしましょう。塞いだ後で土壌用防蟻剤を処理しておけば万全です。
5年ごとの薬剤散布
シロアリ防除の薬剤効果は、環境を配慮して最大5年程度と定められています。そのため、5年ごとの薬剤散布は効果の高いシロアリ予防の方法になります。薬剤の効果が切れる前に散布を行ない、建物をシロアリから保護しましょう。
新築時にも防蟻処理の薬剤散布は行ないますが、効果と保証は5年で終わってしまいます。しかし、再処理をすれば保証も5年間延長されます。
もしシロアリ被害に遭ってしまったら?
シロアリ被害を受けている可能性を感じたら、すぐに専門業者に相談しましょう。相談する時期を引き延ばすほどシロアリ被害は拡大していきます。
市販の殺虫剤を使えば自分でも対策できますが、完全な駆除は不可能です。シロアリは土の下で無数に生息しています。また、シロアリの発生は偶然ではなく、シロアリに狙われた要因があると考えるほうが無難です。
自分で対策する場合は、その範囲も限られます。床下の奥や天井裏、柱の中といった場所は専門の業者でなければ調べることはできません。
ベタ基礎のシロアリ駆除・予防の費用相場
シロアリ駆除・予防の費用は、施工面積や建物の構造、施工場所によって変わります。料金体系は業者に異なりますが、一般的には予防と駆除に費用の違いはありません。
費用に関わってくる主なポイントは下記です。
床下の潜り込みやすさ
作業員が潜り込めない構造の床下は、壁や床に薬剤注入用の穴を開ける工事が必要になるので、別途追加料金が発生します。また、床暖房や床下換気扇などの有無によっても費用は変わります。
建物の材質
駆除の方法や使用する薬剤は家の造りで変わるため、木造や鉄骨造などの構造や材質によって費用が変動します。
除去する場所
浴槽付近のようなシロアリが発生しやすい場所は、駆除のために別途工事が必要になるケースがあります。
業者のタイプ別費用相場
一般的な費用相場を比較してみましょう。
業者の種類 | 1坪あたり | 1㎡あたり |
---|---|---|
大手業者、ホームセンター | 10,000円 | 3,000円 |
地元の中小業者 | 1,800円〜2,700円 | 6,000円〜9,000円 |
取次業者 | 4,000円〜 | 1,200円〜 |
合同保証タイプ | 4,000円〜6,000円 | 1,200円〜1,800円 |
大手業者やホームセンターは、宣伝広告費や営業所の経営費といったコストもかさむので、料金も高めの設定です。中小企業や取次業者は料金にばらつきが多く、追加料金が発生するケースも少なくありません。
合同保証タイプは「運営本部・損害保険会社・施工加盟店」が業務提携して工事と保証を行います。
シロアリ被害はベタ基礎でも起こる!早めの対策が大切です
ベタ基礎だからといってシロアリの心配は全く無用ではありません。
シロアリ被害は、早期発見・早期駆除が重要です。普段から家の状態に注意し、少しでも異常を感じたら専門業者に相談しましょう。