ベタ基礎のクラックは放置厳禁!ひび割れの原因と補修方法を徹底解説
「ベタ基礎のコンクリートにクラックが発生している」
「基礎コンクリートのクラックが大きくなってきた」
このような状況を放置するのは絶対にやめましょう。基礎は家を支える大切な部分なので、クラックを放置しておくと家の耐久性や建物全体の寿命にも影響を与えます。
そこで今回は、ベタ基礎にクラックが発生する主な原因や、補修方法と費用相場などについて詳しく解説していきます。
補修を依頼する際の専門業者の選び方もご紹介しますので、ベタ基礎のクラックで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
ベタ基礎のクラックとは? 注意すべきひび割れの種類
基礎のクラックにはいくつかの種類があり、その状況によって危険度も変わります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
・幅0.3mm以上、深さ4mm以上の「構造クラック」
幅0.3mm以上、深さ4mm以上の大きなひび割れは「構造クラック」と呼ばれます。住宅の構造そのものに悪影響を与え、家の耐震性にも関わってくるため、早めの補修が必要です。
クラックが深いと、隙間から空気や水分が侵入しやすくなり内部の鉄筋が錆びやすくなります。錆びた鉄筋は内部で膨張するので、内側からコンクリートが破裂する「爆裂現象」が発生します。
爆裂現象は建物の寿命を縮めるため、放置すると建物倒壊などのリスクまであります。
・幅0.3mm未満、深さ4mm未満の「ヘアークラック」
幅0.3mm未満、深さ4mm未満の髪の毛ほど細い小さなひび割れは「ヘアークラック」と呼ばれます。ヘアークラックは基礎の劣化の中でも初期症状なので、基本的に様子見で構いません。
・ベタ基礎の同じ場所にある「無数のクラック」
ヘアークラックのように小さなひび割れも、同じ場所に集中して発生している場合は補修を検討した方がいいでしょう。補修は「1m以内に3つ以上のクラックがあるかどうか」を目安にしてみてください。
・ベタ基礎の高さまで伸びている「上下のクラック」
ベタ基礎の下から上まで縦につながっているクラックは、幅の広さに関件なく、早めに点検、補修をする必要があります。
・ベタ基礎の「横方向に伸びたクラック」
クラックが横1文字に伸びている場合は、施工に問題がある可能性があります。気づいた時点で専門業者に点検を依頼するといいでしょう。
ベタ基礎にクラックが起こる原因7つ
ベタ基礎にクラックが発生する主な原因を7つご紹介します。
1.乾燥収縮
コンクリート内部の水分が乾燥して蒸発すると、基礎全体が収縮してコンクリートが引っ張られます。この「引っ張る力」がコンクリートにクラックを発生させるのです。
2.気温
コンクリートには「温度が急激に低下すると縮む」という特性があります。そのため、縮む力がコンクリートの引張強度を上回ると、表面にクラックが発生してしまいます。
3.水分
気温が下がってコンクリート内部の水分が凍ると、膨張圧によってコンクリートが膨らみます。逆に凍った氷が溶けるとコンクリートの組織が緩みます。この膨張と弛緩を繰り返している間に、クラックが発生してしまいます。
4.中性化
基礎内部の鉄筋は、アルカリ性のコンクリートに守られているので錆びません。しかし、コンクリートが空気中の二酸化炭素と反応を起こして中性化すると、内部の鉄筋が酸化して錆びが生じます。錆びた鉄筋は膨張するため、基礎の表面にクラックが発生してしまうのです。
5.地震などの自然災害
大きな地震などの自然災害もクラックの原因になります。強い地震のあとに新たなクラックが発生していたら要注意です。
6.寿命
コンクリートの寿命は「30年~40年」です。そのため、築30年~40年が経過した家のベタ基礎にクラックが発生していた場合は「寿命」と考えた方がいいでしょう。
7.施工不良
基礎を施工する際の配合ミスや厚み不足などが原因でクラックが生じることもあります。また、内部鉄筋の配筋不良によってクラックが発生することもあります。
ベタ基礎のクラックが絶対に放置NGな理由
基礎は建物の大切な「土台」です。その土台が劣化すれば、家の耐久性が低下してしまいます。場合によっては、地震などの自然災害で家が倒壊することもあるのです。
クラックから雨水や空気が入り込めば、内部の鉄筋に錆びも生じます。鉄筋が錆びて膨張すると、基礎コンクリートの外部に露出する「爆裂現象」を引き起こすこともあるため、早めの補修が必要です。
内部鉄筋の錆びや爆裂現象の補修には大規模な工事が必要になります。家の寿命を伸ばして修繕費用を最小限にするためにも、ベタ基礎のクラックは放置しないようにしましょう。
ベタ基礎のクラックの補修方法と費用
ベタ基礎のクラックを補修する主な3つの方法と、それぞれの費用相場をご紹介します。
・Uカット(Vカット)シール工法
幅が広いクラックの補修に用いられる工法です。専用の電動工具でクラックをU字型(V字型)にカットしたうえで、シーリング材を充填します。費用の相場はクラック1カ所につき1~2万円です。
・ビックス工法
細かいクラックの補修に用いられる工法です。幅0.1mm以下のクラックにも対応できます。費用相場はクラック1カ所につき1~2万円です。基礎全体を補修する場合の費用は10万円前後となります。
・アラミド繊維シート貼りつけ
引張強度の高い素材「アラミド繊維シート」を、基礎コンクリートに貼る方法です。コンクリートは横揺れの引張り力に弱いため、アラミド繊維シートを貼って負荷を軽減させます。費用相場は、材料費と作業費込みで1.5万〜2.5万/㎡程です。
ベタ基礎のクラック補修を業者に依頼する際のポイント5つ
基礎は重要な構造なので、クラックは自分で直そうとせず、必ずプロに修理を依頼してください。
補修を依頼する際には、下記のポイントに注意して業者を選ぶといいでしょう。
1.悪徳業者に騙されないように注意
「この地域全体の無料点検をおこなっています」などと言って突然訪問してくる業者は、悪徳業者の可能性があります。「すぐに補修をしないと家が大変なことになる」など、不安を煽るような言葉で契約を急かすのが特徴です。
こうした突然の訪問による点検は受けないようにし、点検・修理を依頼する業者は必ず自分で選び、こちらから依頼するようにしましょう。
2.施工実績を確認する
実績が少ない業者は適切な補修ができません。ベタ基礎クラックの補修を依頼する際には、ホームページなどで過去の施工実績を確認しておきましょう。
なお、業者のホームページに「お客様だけが写っている写真」が過去の実績として使われている場合は、ネット上のフリー素材などを転用している恐れがあります。お客様の写真が掲載されているときは、「業者の社員が一緒に写っているかどうか」を確認してください。
3.複数の業者から相見積もりをとる
業者によって補修内容や費用は異なるため、複数の業者から見積もりを取って費用の相場を確認しましょう。
4.保証やアフターサービスを確認する
補修をしても、大きな地震や施工ミスなどが原因でクラックが再発することもあります。そのため、「無償で再施工してくれるのか」「無償対応期間はいつまでなのか」といった保証内容を確認しておきましょう。
5.口コミを確認する
グーグルなどで業者の口コミを確認することも重要です。業者のホームページに掲載されている口コミは「自演」の可能性があるため、必ず他媒体の口コミを参考にしてください。
まとめ
ベタ基礎のクラックは絶対に放置せず、気付いた時点で必ず専門業者に補修を依頼しましょう。
クラックは気温や水分、コンクリートの中性化など、さまざまな原因で発生しますが、いずれの場合も放置しておくと「家の耐久性が低下」や「建物の寿命が短くなる」などの悪影響があります。
ベタ基礎のクラック補修方法と費用相場は、次のとおりです。
- Uカット(Vカット)シール工法:クラック1カ所につき1~2万円
- ビックス工法:クラック1カ所につき1~2万円
- アラミド繊維シート貼りつけ:1.5万〜2.5万円 /㎡前後
基礎は建物を支える重要な部分です。決して自分で直そうとはせず、必ずプロに依頼しましょう。無料点検を実施している業者もあるので、ベタ基礎のクラックが気になっている方は気軽に問い合わせてみてください。