
ベタ基礎の湿気対策に防湿シートは効果がある?効果やおすすめの対策方法を紹介
住宅の基礎は建物全体を支える重要な部分であり、その耐久性や性能を維持するためには湿気対策が欠かせません。特に、ベタ基礎において湿気が蓄積すると、カビやシロアリ被害、さらには住宅の寿命にも影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、防湿シートの役割や特徴、さらにその他の湿気対策について、専門的な視点から詳しく解説します。
ベタ基礎に湿気対策が必要な理由

床下に湿気が溜まりやすい理由は、立地や地盤、換気不足、雨水や地下水の影響です。湿潤な地盤や水はけの悪い場所では湿気が溜まりやすく、換気が不十分だと湿気が排出されずに残ります。さらに、雨水が基礎に浸透したり、地下水位が高い地域では湿気が床下に侵入したりしやすくなります。
湿気は見た目には分かりにくいですが、さまざまなリスクを引き起こし、住宅全体に深刻なダメージを与える可能性があります。
以下が、湿気が引き起こす主なリスクです。
カビの発生
湿気が床下に滞留すると、カビが発生しやすくなります。カビは建材を劣化させるだけでなく、室内空気を汚染し、住人の健康にも悪影響を及ぼします。特にアレルギーや呼吸器系疾患を引き起こすリスクが高まります。
建材の劣化
湿気が木材やコンクリートに浸透すると、腐食や劣化を促進します。木材は腐朽菌に侵されやすくなり、コンクリートは湿気による中性化が進むことで強度が低下します。
シロアリ被害
湿気が多い環境はシロアリの繁殖に最適です。特に木材が湿気を含むと、シロアリが侵入しやすくなり、建物の構造に深刻な損傷を与える原因となります。
ベタ基礎でも、基礎部分にひび割れや隙間が生じることや、木材が湿気を含むことでシロアリの侵入を防げないことがあります。そのため、ベタ基礎だからといってシロアリ被害が完全に防げるわけではありません。
住宅寿命への影響
湿気対策を怠ると、住宅全体の耐久性が低下し、結果として寿命が短くなります。長期的な資産価値を維持するためにも、湿気対策は非常に重要です。
基礎(床下)に湿気が溜まりやすい理由は?

基礎(床下)に湿気が溜まる原因を把握することは、効果的な対策を講じるための第一歩です。
立地や地盤の影響
地盤が湿潤である場合や、周囲に水はけが悪い環境がある場合、床下に湿気がたまりやすくなります。特に低地や川沿いでは、湿気の影響が顕著です。
換気不足
床下の換気が十分でない場合、湿気が排出されずに溜まってしまいます。特に換気口の配置や数が適切でない場合や、周囲の建物や植栽が換気を妨げている場合に問題が発生します。
雨水や地下水の影響
雨水が基礎部分に浸透したり、地下水位が高い地域では湿気が床下に侵入したりしやすくなります。
防湿シートの効果と特徴
防湿シートは、基礎部分に敷設することで地面からの湿気の上昇を防ぐための素材です。
主にポリエチレンやポリプロピレンなどの防水性に優れた素材で作られており、床下環境を乾燥した状態に保つ役割を果たします。
以下が、防湿シートを用いるメリットの例です。
メリット1:施工の簡便さ
防湿シートは、比較的簡単に施工できる点が大きなメリットです。専門業者による施工が一般的ですが、適切な手順を踏めば短期間で設置が可能です。
メリット2:湿気防止効果
地面からの湿気を遮断することで、床下の湿度を一定に保ちます。これにより、カビやシロアリの発生リスクを大幅に軽減できます。
メリット3:長期的なコスト削減
初期投資は必要ですが、長期的には建材の劣化や補修費用を抑える効果が期待できます。
一方で、防湿シートのデメリットは以下になります。
デメリット1:初期コストの負担
防湿シートの導入には一定の費用がかかりますが、建物全体の維持費用を考慮すると、効果的な投資と言えます。
デメリット2:完全に湿気を防げるわけではない
シートの継ぎ目や施工の不備があると湿気が入り込む恐れがあり、さらに経年劣化によって破れたり、効果が低下したりする可能性があります。
防湿シート以外の湿気対策方法
こちらでは、防湿シートと組み合わせることで、より効果的に湿気対策を行う方法について解説します。
換気口や換気システムの活用
床下の換気口の増設や、換気システムを導入することで湿気を効率的に排出できます。特に機械式換気システムは、湿気の多い地域で有効です。
防水材や排水対策との併用
基礎部分に防水材を塗布することで、地面からの湿気や雨水の侵入を防ぐことができます。また、排水路を設置することで雨水の流入を防ぎます。
床下調湿材の設置
防湿シートに加えて床下調湿材を活用することで、湿気対策をさらに強化できます。調湿材は湿気を吸収・放出する特性を持ち、床下の湿度を一定に保つ効果があります。
特に湿気が多い地域や、換気だけでは十分に湿気を排出できない環境では、調湿材の併用が非常に効果的です。
ベタ基礎で湿気問題が発生した場合の補修方法
床下において湿気による問題が発生した場合、早期対応が重要です。
劣化箇所の点検と診断方法
湿気による劣化箇所を特定するためには、専門業者による詳細な点検が必要です。特に木材部分や基礎周辺の腐食やカビの有無を確認します。
劣化した基礎の補修の流れ
- 劣化箇所の診断と補修計画の立案
- 腐敗した木材や劣化したコンクリートの除去
- 基礎補強の実施
- 防湿シートや床下調湿材の設置
これらの工程を経ることで、湿気問題の再発や劣化を補修できます。
防湿シート+αで湿気対策を万全に
防湿シートは、ベタ基礎の湿気対策として非常に有効な手段です。しかし、単独での使用では限界がある場合もあります。他の湿気対策と組み合わせることで、さらに高い効果が得られます。