床の断熱材の種類と特徴を解説!リフォームで後入れする方法や費用も紹介
断熱性能が低い家は、床の冷たさによって冬の暖房効率が下がってしまいます。そこで検討したいのが「床の断熱材」です。すでに床の断熱リフォームを検討しているという人も多いのではないでしょうか。
今回は、断熱材の効果や種類について詳しく解説します。断熱施工の費用相場も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
床の断熱材とは
床の断熱材には、「外気の侵入を防いで部屋の気密性を高める」という効果があります。暖房器具を使っていても室内が寒いと感じる場合は、家の断熱性能に問題があると考えて間違いありません。そのような家に断熱材を使用すれば床下の隙間がなくなり、以下の図でわかるように室内全体の保温性が高まります。
また、床の断熱材には、暖かい空気を逃さない省エネ効果も期待できます。
床の断熱方法は2つある
床の断熱方法は「床下断熱工法」と「基礎断熱工法」に大別されます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.床下断熱工法
床下断熱工法は、一般的な床断熱です。1階の床の直下に断熱材を敷き詰めて熱を遮断します。床下に敷き詰めた断熱材は底冷えを抑えるため、暖房の効率を高めることも可能です。
DIYで施工する人もいますが、難易度は高いと思ってください。断熱材の効果を最大限に発揮するには、床と断熱材の隙間を確実に埋めなければいけません。
しかし、ご自分での施工は、断熱材の厚み調整や配線部分の細かい設置に失敗する可能性が高くなります。再施工の手間や費用を避けるためにも、初めから専門業者に依頼した方がいいでしょう。
2.基礎断熱工法
基礎断熱工法は、建物の外周に面した基礎の立ち上がりに断熱材を施工する方法です。床ではなく基礎部分を断熱するため、施工後も床下の空間を利用できます。比較的新しい工法ですが、寒冷地で採用されるケースが多く、床下を貯蔵庫に使用する人もいます。
なお、基礎断熱工法は、断熱材を施す箇所によって以下の3種類に分かれます。
工法 | 断熱材を施す箇所 |
---|---|
1.基礎外断熱 | 基礎立ち上がりの外側 |
2.基礎内断熱 | 基礎立ち上がりの内側 |
3.基礎両側断熱 | 基礎立ち上がりの内外両方 |
床に使用される断熱材の種類
床に使われる断熱材には、さまざまな種類があります。効果や特徴は断熱材の種類によって異なるので、確認しておきましょう。
床に使われる断熱材の種類は以下の4つです。
- 無機繊維系
- 木質繊維系
- 発砲プラスチック系
- 自然素材系
1.「無機繊維系」
・ロックウール
玄武岩や天然岩石などを加工した繊維です。安価でありながら、断熱性と耐火性に優れています。アスベスト被害の石綿とは別物なので安心して利用できますが、曲げや引っ張る力に弱いため、施工箇所には注意が必要です。
・グラスウール
リサイクルしたガラスを主原料とした断熱材です。価格が安く、安全性と耐久性に優れています。ただし、湿気には弱いので、施工を誤ると結露や断熱性能の低下を起こします。
2.「木質繊維系」
・セルローズファイバー
古新聞が原材料の断熱材です。断熱性だけではなく、防音性が高いという特徴があります。他の断熱材に比べるとコストは高めです。
3.「発砲プラスチック系」
・ポリスチレンフォーム(EPS)
いわゆる「発泡スチロール」です。金型に入れて加熱・制作するため、自由に成形できます。水や湿気に強く、施工も容易です。ただし、繊維系の断熱材に比べると断熱性能は劣ります。
・押出法ポリスチレンフォーム(XPS)
ポリスチレン樹脂に発泡剤と難燃剤を加え、発泡させながら押出成形した断熱材です。原料はEPSとほとんど変わりませんが、製造工程が異なります。EPSよりも安価ですが、防蟻性能を備えているタイプもあります。しかし、経年劣化と衝撃には強くありません。
・硬質ウレタンフォーム(PUF)
ポリイソシアネートとポリオールに発泡剤などを加えた断熱材です。吹き付けて施工するため、他の素材に比べて気密性と断熱性が高くなります。
・フェノールフォーム(PF)
フェノールフォーム樹脂に発泡剤や硬化剤を加えたボード状の断熱材です。経年劣化が少なく、長期間にわたって耐火・断熱性を維持できます。断熱性能はトップクラスと考えていいでしょう。ただし、価格は高く、吸水性や吸湿性が低いというデメリットがあります。
4.「自然素材系」
ウールや炭化コルクのような自然素材の断熱材です。保温と速乾性を確保しながら人体にも優しいという特徴があります。
シックハウス症候群の心配もほとんどありませんが、他の素材に比べてコストは高めです。また、施工に対応している業者は多くありません。
リフォームであとから床に断熱材を入れることもできる
断熱材が施行されていない住宅にも、リフォームで施工することができます。基本的な施工方法は「根太間断熱・大引間断熱」です。この方法であれば、既存の床下にも問題なく断熱材を施工できます。
床の裏から断熱材を充填するだけで完了するため、工期は1日ほどです。費用相場は20坪で約30~40万円になります。
床下から断熱材を吹き付ける方法もあります。断熱材の厚さを自由に設定でき、隙間なく施工できるのが吹き付け工法のメリットです。既存の断熱材の上から吹き付ければ、断熱性能の補強にもなります。
吹き付け工法の費用は「根太間断熱・大引き間断熱」と変わりませんが、対応している業者が少ないので依頼先に困るかもしれません。
なお、床材の張替えと同時に断熱材を施工することもできます。この場合は、床を剥がした後で室内側から大引きや根太の間にボード状の断熱材を施工します。
工期は1~3日で、費用相場は20坪で約80~120万円です。使用する床材によって費用は異なるので、事前に確認しておくようにしましょう。
まとめ
家の断熱効率を高めるなら、床下の断熱材施工がおすすめです。断熱材は足元の温度が下がるのを防ぐため、室内の保温性と暖房効率を高めます。
断熱材にはさまざまな種類があるので、それぞれの特徴を確認して自宅に最適な断熱材を選びましょう。施工費用は工法によって異なります。一般的な断熱施工の費用相場は20坪で約30~40万円です。DIYでの施工は難しく失敗のリスクがあるため、専門の業者に依頼しましょう。