床下エアコンと床暖房の違いとは?導入のメリットとデメリットを紹介

1台で床全体を暖かくできる「床下エアコン」の設置を検討している方も多いのではないでしょうか。

床下エアコンを導入するにあたって、実際にどれくらい暖かくなるのか、床暖房とどちらがいいのかなどの疑問を解消しておきたいですよね。本記事では、床下エアコンを導入するうえでのメリットやデメリット、月々にかかる電気代や設置費用などについてご紹介します。

床下エアコンの導入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

そもそも床下エアコンとは?床暖房との違いも紹介

床下エアコンは、1台のエアコンで床を暖める仕組みです。エアコンで暖めた空気が床下全体を循環しながら滞留することによって床全体を暖めます。特別な機械を用意する必要はありません。構造的には「普通のエアコンを床下に設置する」ということになります。
床下エアコンを設置することで、エアコンの風による乾燥や、埃を舞上げて空気を汚すこともないので、アレルギーが気になる方や小さなお子さんがいる方にも安心です。

床下エアコンと床暖房の違いは?

床暖房は「床の一部を暖める」方法です。床材の内部や、床材と床下地合板の間に熱源を埋め込んで、設置部分の床を暖めます。基礎断熱工法、床下断熱工法のどちらでも施工できます。

一方で床下エアコンは、「床全体を暖める」方法です。床下に市販のエアコンを設置して床下全体を熱源にします。設置できるのは基礎断熱工法の家だけです。

床下エアコンのメリット

床下エアコンのメリットは次の6つです。

  • 床全体が暖かくなる
  • エアコンが1台で済む
  • 温風が当たらない
  • 室内がスッキリする
  • 燃料補給の手間がかからない
  • 床暖房よりも修理しやすい

それぞれ詳しく見ていきましょう。

・床全体が暖かくなる

床下エアコンは床暖房とは異なり、床下全体が暖かくなります。そのため、「キッチンは暖かいのに廊下は冷たい」というようなことはありません。温度差に敏感な高齢者がいるご家庭などでも、床下エアコンが役に立つでしょう。

・エアコンが1台で済む

床下エアコンは1台で床全体を暖められるので、部屋ごとに何台ものエアコンを設置する必要がありません。初期費用は「エアコン1台分」しかかからないので、購入費用で悩んでいる方も安心でしょう。

故障によって買い替える必要が生じた場合も、エアコン1台分の費用で済むので経済的です。ただし、2階建て以上の住宅などで全館冷暖房を検討している場合は、小屋裏エアコンと併用といった工夫が必要になります。

・温風が体に当たらない

床下エアコンは床下からの輻射熱を利用して床全体を暖めるため、温風が顔などに当たらず快適に過ごせます。冬場に急速暖房を使うと風が当たって不快ですが、床下エアコンは室内にエアコンを設置しないので、暖房の風が気になりません。

・室内がスッキリする

エアコン本体が床下に隠れるため、室内の美観を損ねないというメリットもあります。室内空間をスッキリさせたいという方も、床下エアコンの導入を検討してみる価値はあるでしょう。

・燃料補給の手間がかからない

床下エアコンは電力で稼働します。ストーブのように燃料を補給する手間はかかりません。

・床暖房よりも修理しやすい

床下エアコンは家電量販店で販売している一般的なエアコンなので、街の電気店などに修理を依頼することができます。月に1~2回、フィルターを掃除機でメンテナンスするだけという手軽さも魅力です。

一方、床暖房の設備は建築会社でなければ導入できないため、修理はメーカーや施工会社に頼まなければいけない手間がかかります。

床下エアコンのデメリット

床下エアコンのデメリットは次の5つです。

  • 夏場の冷房の使用に向かない
  • シロアリ被害に遭う可能性がある
  • 電気代がかかる
  • 基本的にメーカー保証がない
  • 導入は基礎断熱の家に限られる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

・夏場の冷房の使用に向かない

温かい空気は上昇しますが、冷たい空気は下に停滞しやすいため、部屋全体が均等に冷えません。また、冷風によって結露が発生しやすくなり、カビ繁殖の原因になります。エアコンで効率的な全館冷暖房を検討しているなら、小屋裏エアコンとの併用がおすすめです。

・シロアリ被害に遭う可能性がある

床下エアコンは基礎断熱の密閉性を利用します。シロアリは基礎断熱に使われる断熱材を好むため、シロアリ被害を誘発する恐れがあります。また、断熱材によって侵入経路がわかりにくくなり、シロアリ被害の発見が遅くなるのもデメリットです。

・電気代がかかる

床下エアコンは基本的に24時間フル稼働させるため、使用時間に応じた電気代がかかります。

・基本的にメーカー保証がない

メーカーは床下へのエアコン設置を想定していません。そのため、基本的にはメーカー保証の対象外になります。修理は街の電気店に依頼できますが、費用は実費負担になると考えた方がいいでしょう。

・導入は基礎断熱の家に限られる

基礎断熱工法を採用している家でなければ、床下エアコンを設置しても効果が得られません。基礎断熱ではない家の場合は、床を剥がしたうえで基礎断熱施工をする必要があります。後付け施工は工費が高額になるため、床下エアコンの設置を考えているのであれば、新築時の導入がおすすめです。

床下エアコンの設置で失敗しない方法

床下エアコンの設置で失敗しないためには、基礎断熱との関係を理解しておくことも大切です。家全体の効率的な冷暖房を実現するには、小屋裏エアコンとのバランスも考慮しなければいけません。詳しく見ていきましょう。

・床下エアコンと基礎断熱の関係を理解する

基礎断熱を採用していない家では、床下エアコンの熱が外に逃げてしまうので暖房効率が悪くなります。床下エアコンを効率よく活用できるのは、基礎断熱と気密性が確保されている家だけです。

特に冬に外気温が低い場合は、床下エアコンで暖房を効かせても、外の冷気が床下に侵入してきて温度が下がってしまいます。

・小屋裏エアコンは高い位置に設置する

冷暖房の効率を重視する場合は、併用する小屋裏エアコンの設置場所を高くしましょう。断熱性能の高い家でも、夏は小屋裏や2階が暑くなるため、屋内の高い箇所を暑くしないことが大切です。

小屋裏の最上部にエアコンを設置すれば、家全体の涼しさをキープできます。ただし、小屋裏エアコンと床下エアコンの併用は、住宅の断熱性と気密性を熟知したプロの技術と経験が求められます。

なお、床下エアコンと小屋裏エアコンの併用は修理や交換のリスクを抑えながら全館冷暖房を実現できますが、それぞれのエアコンが独立しているため、個別の温度調節はできません。

このようなデメリットを理解したうえで、床下エアコンや小屋裏エアコンの導入を検討しましょう。

床下エアコンの1ヶ月の電気代や設置費用はいくら?

まず床下エアコンの設置費用ですが、こちらは通常のエアコンを床下に設置するだけなので、エアコンの設置費用とだいたい同じぐらいです。その他にも、エアコンの吹き出し口であるガラリなどの施工費としてプラス50,000円ほど見ておきましょう。

1か月の電気代の目安ですが、10,000円〜20,000円前後と考えておくといいでしょう。床下の広さや使用環境によって変わりますが、基本的には、室内でエアコンを使った場合の電気代とほとんど変わりません。
同じ条件で床暖房を1日10時間使った場合の電気代は、月13,000円前後なので、床下エアコンの方が電気代はやや割安です。エアコンはスピーディーな暖房が可能ですが、床暖房は床が温まるまでに1時間ほどかかるという点も覚えておきたいところです。

まとめ

床下エアコンは、1台のエアコンで床全体を暖める効率的な暖房方法です。床暖房よりも暖かくなる範囲が広く、ランニングコストも安く済みます。エアコン1台で床全体を暖めるため、複数台のエアコンを設置する必要もありません。ただし、床下エアコンは断熱材を利用するので、断熱材を好むシロアリの被害には注意が必要です。

床下エアコンを24時間稼働させた場合の電気代は月10,000円〜20,000円前後が目安になります。ランニングコストは床暖房よりも安く済むので、床全体を暖めるならコスパの高い方法といえるでしょう。今回の記事を参考にして、床下エアコンの導入を改めて検討してみてはいかがでしょうか?

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