羽アリとシロアリの見分け方と発生原因を解説

家の周りで羽アリを見かけたら要注意です。もしかすると、すでに屋内でシロアリが発生しているかもしれません。シロアリの発生を放置しておくと、食害による住宅資産価値の低下を招く恐れがあります。

ただし、すべての羽アリがシロアリというわけではありません。食害を起こさないクロアリの可能性もあります。

そこでこの記事では、シロアリとクロアリの見分け方や、家で羽アリを発見したときの対処法と注意点などをご紹介します。「家の周囲に羽アリがいる」という方は、ぜひ参考にしてください。

家の周りに羽アリが!シロアリの見分け方は?

羽アリはシロアリではなくクロアリの可能性もあるので、シロアリとクロアリの見分け方を知って、焦らずに対処しましょう
両者にはさまざまな違いがありますが、「羽の大きさ」「胴体」「発生時期」の3点を意識しながら見分けてみるとわかりやすいでしょう。

シロアリの羽アリの簡単な見分け方

シロアリの羽アリとクロアリは、それぞれの特徴をチェックしておくことで簡単に見分けられるようになります。

・シロアリの特徴

シロアリの羽は前後の形と大きさがほぼ同じです。胴体は寸胴でクビレはありません。まっすぐで数珠状の触覚も特徴。4枚の羽は、ほほ同じ大きさをしています。前後の羽の形もほとんど同じです。なお、シロアリの羽アリは色が白くないため、色で識別することはできません。見分ける際には、触覚や羽の形などから判断しましょう。

・クロアリの特徴

クロアリは大きな前羽や腹部のクビレが特徴で、触覚は「くの字」型をしています。主に庭先などの人目に付きやすい場所で活動して腐った木などに生息しますが、木材への食害はありません。

シロアリの羽アリが発生する原因とは?

羽アリは新しい巣を作るために発生します。シロアリのオスとメスが巣から一斉に飛び立ち、相手を見つけると新しい場所で巣を作るのです。なお、シロアリの羽アリが一斉に飛び立つ現象を「雄雌群飛」とも呼びます。

羽アリが飛び立つまでに3年以上かかるため、シロアリの羽アリが飛び立つのを見かけた場合は、すでにかなりの数が生息していると考えて間違いないでしょう。

シロアリの羽アリが侵入するルート

繁殖期に空を飛んで羽アリが飛来することもありますが、飛来による屋内への侵入は極めて稀です。

シロアリはもともと土の中に生息しているため、土の中から床下を経由して屋内に侵入するケースが多く見られます。通常であれば床下にシロアリは発生しませんが、湿気を大変好むために、床下の換気が不十分だったり、川や池が近くにあったりする住宅では、シロアリが繁殖しやすくなります。

シロアリは、湿気だけではなく木材も好みます。庭先や家の周辺に木材が放置してあると、そこにシロアリが巣を作り、巣を拠点として屋内で侵入されてしまいます。

シロアリの羽アリが発生する時期

シロアリの動きが活発になる気温は20度〜30度といわれているため、国内では4月から10月頃に発生しやすくなると考えていいでしょう

シロアリは基本的に季節を問わず「気温」で発生すると思ってください。気温が低下する11月から3月の間は多くののシロアリが活動を停止しますが、いなくなったわけではありません。あくまでも休眠をしているだけなので注意が必要です。
たとえば、冬でも暖房器具などの使用で室内や床下の温度が上昇すれば、シロアリの動きは活発になり食害を引き起こします。

事実上、シロアリの発生時期は「1年中」と考えていいかもしれません。

危険なシロアリの羽アリとは?

見かけたシロアリの羽アリが危険かどうかは、下記をチェックすると判断できます。

  • 発生した数
  • 発生した場所

それぞれ詳しく見ていきましょう。

大量に発生した

シロアリは巣が狭くなると羽アリを発生させることがあるため、シロアリの羽アリが大量に発生した場合は、屋内でシロアリが繁殖している恐れがあります。

羽が取れやすいシロアリの羽アリが大量に発生すると、屋内に羽が散らばっていることもあります。クロアリの羽アリであれば羽が大量に散らばっていることはありません。羽が散乱していたら、シロアリ被害を疑った方がいいでしょう。

屋内に発生した

家の木材内部が侵食されている場合は、屋内にシロアリの羽アリが発生しやすくなります。たとえ数匹だったとしても、屋内で見かけたのであれば、すでに食害に遭っている可能性が高いでしょう。

なお、シロアリの被害に遭いやすい場所としては、和室や玄関、浴室などがあります。このような場所でシロアリの羽アリを見かけたら要注意です。

シロアリの羽アリが発生しやすい条件

以下のような条件に該当する住宅はシロアリが発生しやすくなるので、定期的な点検は欠かせません。

・日当たりが悪く湿気が多い土地

シロアリは湿気を好むため、日当たりが悪くジメジメとした土地に集まってきます。もともとの立地条件がシロアリの好む環境と一致している住宅は、床下に換気扇を設置するなどして通気を確保する必要があるでしょう。

・近所でシロアリ被害が発生    

近場でシロアリ被害が発生していたら要注意です。シロアリは餌場をフェロモンで仲間に知らせるという特性があるため、あっという間に数百匹のシロアリが押し寄せて、近隣にも被害を及ぼします。

・防蟻処理してから5年以上経過している

シロアリの発生を防ぐ薬剤の効果は、最大でも5年前後が一般的です。薬剤の効き目が切れると再びシロアリが発生するので、定期的な点検と防蟻処理は必須です。

シロアリの羽アリを家に入れない方法

外から飛来したシロアリの羽アリが屋内に入り込むこともありますが、基本的には飛来したシロアリが家の中で巣を作ることはありません。隣家などからシロアリが屋内に飛来しても、巣を作れる環境でなければ、柱などに入り込んで食害される心配はないのです。

ただし、床材や建物に使われている木材が腐食している場合は、シロアリがそのまま棲みついてしまう可能性があります。なお、シロアリは基本的に土の中から侵入してきます。そのため、シロアリ対策では床下を守ることが何よりも重要になります。

湿気などが原因で床下の腐食が進行している場合は、飛来してくるシロアリよりも前に、土中からの浸食を防ぐための対策をした方がいいでしょう。

発生した羽アリの一時的な対処法

ここでは発生した羽アリの応急処置の方法を解説します。

なお、応急処置方法を間違えると、数匹のシロアリでも家のあちこちに被害が広がるので注意が必要です。あくまでも応急処置なので、羽アリを発見したら速やかに専門業者に相談するようにしてください。

1.掃除機で吸う

羽アリを見つけたら掃除機で吸ってしまいましょう。生きたまま掃除機で吸い取ると、掃除機の中で活動するのではないかと不安に感じるかもしれませんが、ほとんどの羽アリは掃除機で吸い取る際の圧力で死んでしまいますので安心してください。

2.ビニール袋を使う

羽アリが発生している箇所を見つけたら、発生している場所を覆うようにビニール袋をかぶせてテープで固定してください。ビニール袋の中に羽アリが溜まったら、ビニール袋の口を縛って捨てましょう。

3.ガムテープを貼る

発生している羽アリの数があまり多くない場合は、掃除機の代わりとしてガムテープを使用することもできます。

4.殺虫スプレーは使用N G

羽アリの駆除に市販の殺虫スプレーはあまりオススメできません。なぜなら、スプレーがかかった羽アリは駆除できますが、生き残った羽アリは建物の至るところに逃げてしまい、その後の駆除が難しくなるためです。
羽アリを発見したら殺虫スプレーの使用は避け、掃除機やビニール袋を使って駆除しましょう。

シロアリの羽アリ駆除は専門業者に依頼する

一時的な対処でシロアリの羽アリを見かけなくなったとしても、駆除したことにはなりません。巣を駆除しなければ、すぐにシロアリは再発します。見えない場所で浸食が進んでしまう可能性もあるので、必ず専門業者に駆除を依頼しましょう。

シロアリを完全に駆除するには、専門の薬剤や技術が必要です。ご自分での対処には限界があります。被害の拡大を防ぐためにも、シロアリの羽アリを見かけたら、できるだけ早めに専門業者に連絡してください。

まとめ

羽アリが発生していても慌てず、まずはそれがシロアリかクロアリかを見分けたうえで、適切な対処をするようにしましょう。シロアリだった場合は放置しておくと食害を引き起こすため、専門の業者による早急な対策が必要です。

今回ご紹介した羽アリの見分け方やシロアリ発生の主な原因を参考にして、シロアリによる住宅への被害を最小限に食い止めましょう。

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