ベタ基礎のメリットとデメリットまとめ|布基礎との違いや耐久性を高める方法も紹介

住宅の基礎は、構造の重要な部分です。基礎には「ベタ基礎」と「布基礎」の2種類があり、最近ではほとんどの住宅にベタ基礎が採用されています。

この記事では、ベタ基礎のメリット・デメリットや布基礎との違い、そしてベタ基礎を長持ちさせるためのポイントについて詳しく解説します。これから家を建てる方やリフォームを考えている方にとって、役立つ情報が満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。

ベタ基礎とは

ベタ基礎とは、地盤全体にコンクリートの基礎を広げる工法で、建物の重量を均等に地盤に分散させることで高い耐震性を持ちます。これにより、地盤沈下や建物の傾きも防ぐことができます。

建築基準法(建設省告示第1347号)によれば、ベタ基礎の根入れ深さは原則として12cm以上、底盤の厚さも12cm以上とされています。また、立ち上がり部分の高さは地上部分で30cm以上、厚さは12cm以上です。

ベタ基礎は、立ち上がり部分だけでなく、床全体を鉄筋コンクリートで一体化させるため、家の重みを広い面で支え、荷重を効率よく分散させます。

以前は立ち上がり部分のみに基礎を施す「布基礎」が一般的でしたが、阪神淡路大震災以降、ベタ基礎が主流となっています。

基礎の重要性

建物の重さを地面に伝えて安定を保つ基礎に問題があると、地震や台風といった自然災害で家が毀損・倒壊してしまうことがあります。家の寿命は基礎によって左右されると言ってもいいでしょう。

特に地震や水害が多い日本で家を長持ちさせるためには、基礎をしっかりと施工して家を支えられるようにしなければいけません。

ベタ基礎と布基礎の見分け方

ベタ基礎と布基礎の見分け方としては、見た目、施工現場、図面があります。それぞれの見分け方を詳しく見ていきましょう。

見た目

ベタ基礎は、建物の全体が厚い一枚のコンクリート板で覆われているように見えます。一方、布基礎は、建物の壁に沿って設置されたコンクリート梁が特徴です。柱や壁などの下だけにコンクリートを打ち込むので、建物を「面」で支えるイメージになります。

布基礎でも地面が見えている場所に防湿シートを敷き、その上からコンクリートを流すこともありますが、コンクリートの厚さは数センチです。

施工現場

ベタ基礎工事の初期段階では、建物の輪郭に沿って大きな四角形や長方形の鉄筋の格子が広がっている様子が見られます。

一方、布基礎の工事は、建物の柱や構造壁に沿って溝を掘り、その底部に基礎のフーチング部分を設置します。そこに鉄筋を組み立て、コンクリートを流し込んで基礎を形成します。ベタ基礎とは異なり、鉄筋の格子は全体的に広がっていません。

図面

ベタ基礎の平面図は、基礎の配筋が細かく描かれ、基礎梁(リブ)の位置が示されることもあります。一方、布基礎の平面図では、建物の外周や構造壁、間仕切り壁に沿って基礎が描かれます。空白部分は主に土間コンクリートや床下空間です。

なお、ベタ基礎の断面図では、地面から建物の土台まで厚いコンクリートの層が描かれ、基礎梁(リブ)の位置が示されることがあります。布基礎の断面図は、地面から立ち上がる逆T字型のコンクリート構造が見られ、その上に土台が乗っている形で描かれます。

ベタ基礎のメリット

ベタ基礎の主なメリットは、次の3つです。それぞれ詳しく確認していきましょう。

1.強度が高く、耐震性に優れている

建物を面で支えるベタ基礎は、強度が高く耐震性に優れています。そのため、地盤が弱い場所や重量のある住宅だけではなく、力が分散されやすい木造住宅にもベタ基礎が適しています。

2.シロアリなどの害虫の侵入を防ぐ

ベタ基礎は床下全面がコンクリートで覆われているため、シロアリなどの害虫の侵入を防ぎやすくなります。ただし、シロアリは僅かな隙間から侵入するので定期的な防除対策は欠かせません。シロアリ防除は3年に1度が目安です。

3.湿気に強い

先にも述べましたが、ベタ基礎は床下全面がコンクリートで覆われているため、湿気も防ぎやすくなります。湿気に弱い木造住宅にも、ベタ基礎が適しているでしょう。

湿度が高く、湿気が多い日本にはベタ基礎は適した基礎だといえるでしょう。

ベタ基礎のデメリット

続いて、ベタ基礎のデメリットも確認しておきましょう。

1.コストがかかる

多くの鉄筋とコンクリートを使うため、ベタ基礎は建設費用が高くなりがちです。また、布基礎よりも多くの残土が発生し、残土の輸送や処理費用もかさみやすくなるためコストがより多くかかります。

2.内部の鉄筋によって強度が変わる

ベタ基礎は、依頼する工務店によって、内部の鉄筋量が異なります。そのため、各工務店の基準によっては、スラブや立ち上がり部分の鉄筋量が不足することがあります。

3.寒冷地では注意が必要

気温の低下によって地中が凍結すると、地面が膨張して基礎や建物に悪影響を与えることがあります。また、寒冷地では深い根入れが必要となり、コストが高くなる傾向にあります

布基礎のメリット

布基礎のメリットも確認しておきましょう。

1.コストを抑えられる

コンクリートを部分的に打設する布基礎は、ベタ基礎よりも使用するコンクリートの量が少なくて済み、材料費を削減できます。工期もベタ基礎に比べると短くなるため、人件費も抑えられます。

2.寒冷地に向いている

寒冷地では、地面が凍結しない深さ(凍結深度)まで基礎を設置しなければいけません。布基礎は、基礎の立ち上がり部分の高さを凍結深度に合わせて調整できるため、寒冷地の凍結による基礎の持ち上がりを防げます。北海道や東北地方などの寒冷地域にベタ基礎は適していません。

布基礎のデメリット

布基礎のデメリットもチェックしておきましょう。

1.耐震性が低め

布基礎は建物を部分的に支える構造なので、ベタ基礎に比べると耐震性が劣ります。また、地震の際には建物全体が均一に揺れるのではなく、部分的に異なる動きをする可能性があるため、建物に歪みが生じるリスクもあります。

軟弱地盤や地震の多い地域では耐震性の低さが問題になりますが、強度の高いコンクリートの使用や、立ち上がり部分を厚くするといった対策は可能です。

2.湿気とシロアリに弱い

布基礎は床下全体をコンクリートで覆わないので、地面からの湿気がこもりやすくなります。湿気は木材の腐食やカビの発生を引き起こす原因となるだけではなく、シロアリの発生にもつながるので注意が必要です。

なお、このような問題は、防湿シートを敷いてコンクリートを流し込むといった方法で対応可能です。

ベタ基礎と布基礎はどちらを選ぶべき?

現在はベタ基礎が主流ですが、布基礎の方が適しているケースもあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

 ベタ基礎布基礎
構造・特徴床下全体をコンクリートで覆う柱や壁などの下にだけ基礎を打ち込む
施工の複雑さ複雑で工程が多い比較的簡単
コスト高め比較的安い
耐震性高い中程度
湿気強い弱め
シロアリやカビ強い弱め
凍結深度寒冷地では要注意凍結深度に合わせた設計が可能
施工期間長め短め

ベタ基礎と布基礎のどちらを選ぶべきかは、地域の地震リスク、コスト、地盤の状態、気候条件、施工期間などの要因を総合的に判断する必要があります。それぞれの特徴を理解したうえで、ご自分の状況に適した基礎を選ぶことが大切です。

ベタ基礎を長持ちさせるには「基礎補強」がおすすめ

ベタ基礎は建物の重量を支える重要な役割を果たすため、長期間の安定性を保つためには、定期的な点検とメンテナンスが必要です。定期的に基礎の状態をチェックし、ヒビ割れや浸水がないかどうかを確認しましょう。

技術面で効果的な方法は、「基礎の補強工事」です。基礎補強の施工方法はいくつかありますが、コンクリート補修用シート「アラミド繊維シート」で基礎を補修する方法であれば、材料費・作業費込みで1.5万〜2.5万/㎡が費用相場となります。

住宅の基礎は30年から40年という寿命がありますが、上記の基礎補強をおこなえば半永久的に強度を保てるため、施工が早ければ早いほどメリットは多くなります。よって新築にもおすすめの施工です。

まとめ

今回は、ベタ基礎のメリット・デメリットと長持ちさせる方法についてご紹介しました。

ベタ基礎は高い強度と耐震性を持ち、湿気やシロアリの被害を防ぎやすいという利点があります。初期費用はやや高めですが、家の長持ちを考えるならベタ基礎を選ぶのが賢明です。

ベタ基礎の耐久性をさらに向上させたい場合は、「基礎補強」を検討するのがおすすめです。基礎補強は一度の施工で長期間にわたる効果が期待できるため、専門の業者に相談し、ご自宅に最適な方法を提案してもらいましょう。

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