
住宅の基礎に発生したクラック(ひび割れ)について、「このまま放置しても問題ないのか」「補修が必要なのか」といったご相談を当社でも多くいただいています。
基礎クラックは、見た目だけでは判断が難しく、一見小さなひび割れでも発生箇所や進行状況によって必要な対応が異なる場合があります。
本記事では、基礎クラックの補修が必要なケースや発生原因、代表的な補修方法、費用相場、信頼できる業者の選び方まで詳しく解説します。
基礎のクラックで補修が必要なケース
ここでは、補修が必要かどうかを判断するポイントを確認しましょう。
ヘアークラックは経過観察でよい場合もある
ヘアークラックとは、幅0.3mm未満・深さ4mm未満の細いひび割れです。コンクリートの乾燥収縮などによって発生することが多く、建物の構造に影響を与えるケースはほとんどありません。そのため、基本的には経過観察で問題ありません。
ただし、以下のような変化が見られる場合は、専門業者へ相談しましょう。
- ヘアークラックの本数が多い
- 幅や長さが徐々に大きくなっている
- 隙間から雨水が入り込んでいる可能性がある
構造クラックは早めの補修が必要
幅0.3mm以上・深さ5mm以上のクラックは「構造クラック」と呼ばれ、早めの補修が必要です。コンクリート内部までひび割れが及んでいる場合は、水分や空気の侵入によって鉄筋が錆び、ひび割れの拡大やコンクリートの剥離(爆裂現象)を招く恐れがあります。
以下のようなクラックが見られる場合は、できるだけ早く専門業者による点検・補修を検討しましょう。
- 幅が0.3mm以上ある
- 基礎を縦や斜めに大きく走っている
- 年々ひび割れが広がっている
判断に迷ったら専門業者へ点検を依頼する
クラックは見た目だけで種類や深さを判断するのは難しく、一見小さなひび割れでも内部で劣化が進行していることがあります。自己判断やDIYでの補修は、症状を悪化させる恐れがあるため注意が必要です。
基礎のひび割れが気になる場合は、専門業者による点検を受け、原因や補修の必要性を確認しましょう。
ALT(アルト)では、クラックの幅や深さだけでなく、発生位置・進行状況・周辺の劣化状態などを確認し、総合的に建物の状態を診断しています。単にひび割れを埋めるだけではなく、「なぜ発生したのか」を確認したうえで、必要な補修方法をご提案しています。
なお、すべてのクラックに補修工事が必要とは限りません。調査の結果、経過観察で問題ないと判断できる場合は、その理由も含めてご説明しています。
基礎にクラックが発生する原因とは

基礎のクラックは、経年劣化だけでなく施工後のコンクリートの性質や周辺環境、自然災害などさまざまな要因で発生します。原因によって適した補修方法が異なるため、まずはクラックが発生した原因を把握することが大切です。
原因1.コンクリートの乾燥収縮
コンクリートは施工後、内部の水分が蒸発することで徐々に収縮します。この収縮にコンクリートが耐えられないと、表面にヘアークラックが発生することがあります。
乾燥収縮によるクラックは、施工後比較的早い時期に見られることが多く、建物の構造に影響しないケースがほとんどです。ただし、ひび割れが大きくなったり増えたりする場合は注意が必要です。
原因2.経年劣化・中性化
コンクリートは長年にわたり雨風や空気にさらされることで、徐々に劣化が進みます。特に、空気中の二酸化炭素と反応してアルカリ性が失われる「中性化」が進行すると、内部の鉄筋が錆びやすくなります。
鉄筋が錆びると膨張してコンクリートを内側から押し広げ、クラックやコンクリートの剥離(爆裂現象)を引き起こす原因になります。
原因3.地盤沈下・不同沈下
建物の地盤が沈下すると、基礎に大きな力が加わりクラックが発生することがあります。特に、建物の一部だけが沈む「不同沈下」は、基礎や建物全体に大きな負荷がかかるため注意が必要です。
不同沈下が原因の場合は、クラックを補修するだけでは再発する可能性があるため、地盤や建物の状態も含めて調査・対策を行う必要があります。
原因4.地震・凍害・塩害などの外的要因
地震による強い揺れや、寒冷地で水分の凍結・融解を繰り返す「凍害」、海沿いで塩分の影響を受ける「塩害」なども、基礎にクラックが発生する原因です。
これらの外的要因によるクラックは、建物への影響が大きいケースもあるため、発生した場合は早めに専門業者へ点検を依頼し、適切な補修を行うことをおすすめします。
基礎クラックの補修方法と費用相場

基礎クラックの補修方法は、ひび割れの幅や深さ、発生原因によって異なります。適切な工法を選択することで、再発リスクを抑えながら建物の耐久性を維持できます。ここでは、代表的な補修方法と費用相場をご紹介します。
| 補修方法 | 適したクラック | 特徴 | 費用相場 |
|---|---|---|---|
| ビックス工法 | 幅の小さいクラック | エポキシ樹脂を注入し、コンクリートの一体性を回復する | 約1~2万円/箇所 |
| Uカットシール工法 | 幅が大きいクラック | クラックをU字(V字)にカットし、シーリング材や樹脂で補修する | 約1~2万円/箇所 |
| 基礎増し打ち補修 | 構造クラック・耐力不足 | 鉄筋とコンクリートを追加し、基礎全体を補強する | 約6~8万円/㎡ |
| アラミド繊維シート補修 | 構造クラック・耐震補強 | 高強度の繊維シートを貼り付け、基礎を補強する | 約2~3万円/㎡ |
ビックス工法
ビックス工法は、小規模なクラックに適した補修方法です。ひび割れ内部へエポキシ樹脂を注入し、コンクリートの一体性を回復させます。
軽微な構造クラックやヘアークラックの補修に採用されることが多く、建物を大きく傷めずに施工できる点が特徴です。
Uカットシール工法
Uカットシール工法は、幅が大きいクラックや再発の恐れがあるクラックに適した工法です。ひび割れ部分をU字またはV字にカットし、シーリング材や樹脂を充填して補修します。
防水性や耐久性を高められるため、雨水の浸入を防ぎたい場合にも採用されています。
基礎増し打ち補修
基礎増し打ち補修は、構造クラックや基礎の強度不足が確認された場合に行われる補修方法です。既存の基礎に鉄筋とコンクリートを追加し、基礎全体を補強します。
クラックの補修だけでなく、耐震性や耐久性の向上も期待できます。
アラミド繊維シートを使った補修
アラミド繊維シートを基礎表面に貼り付けて補強する工法です。軽量で高強度な素材のため、基礎への負担を抑えながら耐久性を向上させられます。
大規模な解体を伴わず補強できることから、耐震補強を兼ねた補修にも用いられます。
基礎クラック補修業者の選び方
基礎クラックの補修は、工法だけでなく業者選びも重要です。原因を正しく診断できない業者に依頼すると、クラックの再発や必要のない工事を勧められたりする可能性があります。
ここでは、信頼できる業者を選ぶポイントを5つご紹介します。
1.基礎補修の施工実績が豊富か確認する
基礎クラックの補修には専門的な知識と技術が必要です。そのため、外壁塗装やリフォームだけでなく、基礎補修の施工実績が豊富な業者を選びましょう。施工事例、施工件数、補修方法などがホームページで公開されているか確認しておくと安心です。
ALTでは、住宅の劣化状況に応じた補修・リフォーム工事を多数行っています。施工事例では、実際の建物の状態や施工内容、工事後の様子をご紹介しています。
2.建物診断から原因まで説明してくれるか
クラックは補修するだけでなく、「なぜ発生したのか」を見極めることが重要です。信頼できる業者は、現地調査を行ったうえで、クラックの原因や適した補修方法を写真や図を交えながらわかりやすく説明してくれます。
特に基礎補修では、「すぐ補修しないと危険」「大規模な工事が必要」と不安をあおる提案には注意が必要です。信頼できる業者は、クラックの状態や補修が必要な理由を写真などで説明し、複数の選択肢を提示してくれます。
3.見積書の内容が明確か
見積書は金額だけでなく、工事内容まで確認することが大切です。工法や施工範囲、使用する材料、数量などが具体的に記載されていれば、不要な追加工事やトラブルを防ぎやすくなります。不明な項目がある場合は、契約前に必ず確認しましょう。
4.保証・アフターサービスが充実しているか
補修後にクラックが再発する可能性もあるため、保証制度やアフターサービスの有無も確認しておきましょう。保証期間や保証内容、定期点検の有無などを事前に確認しておくことで、施工後も安心して住み続けられます。
5.相見積もりで比較する
基礎クラックの補修費用や提案内容は、業者によって異なります。そのため、2~3社程度から相見積もりを取ることをおすすめします。
なお、価格だけで判断するのではなく、診断内容や補修方法、保証内容、施工実績なども含めて比較することで、自宅に合った業者を選びやすくなります。
基礎クラック補修を業者へ依頼する流れ

基礎クラックの補修は、現地調査から施工完了までいくつかの工程を経て進められます。あらかじめ流れを把握しておくことで、安心して工事を依頼できます。
1.現地調査・建物診断
専門業者が現地を訪問し、基礎クラックの幅や深さ、発生状況を調査します。必要に応じて建物や地盤の状態も確認し、クラックが発生した原因を診断します。
2.見積もり・補修方法の提案
調査結果をもとに、クラックの状態に適した補修方法と見積もりを提案します。工法や工事内容、費用、工期について説明を受け、疑問点は契約前に確認しておきましょう。
3.基礎クラックの補修工事
契約後、提案内容に沿って補修工事を実施します。工法によって工期は異なりますが、軽微な補修であれば1日程度、大規模な補修では数日かかる場合があります。
4.施工完了・保証内容の確認
工事完了後は、施工内容を業者と一緒に確認します。保証書が発行される場合は、保証期間や保証内容を確認し、大切に保管しておきましょう。
基礎クラックは早めの確認が住まいを守る第一歩
基礎クラックには経過観察で問題ないものもありますが、構造クラックのように早急な補修が必要なケースもあります。放置すると建物の耐久性や安全性に影響を及ぼす可能性があるため、気になるひび割れを見つけたら早めに点検を依頼することが大切です。
また、補修方法はクラックの原因や状態によって異なります。適切な工法を選ぶためにも、施工実績が豊富で、原因や工事内容を丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
基礎のひび割れは、見た目だけで危険性を判断することは難しいものです。気になるクラックがある場合は、まずは専門業者による現地調査を受け、現在の状態や必要な対応を確認しましょう。








