
家の土台となる基礎には、鉄筋を組み込んだ「鉄筋コンクリート基礎」と、鉄筋を使わない「無筋コンクリート基礎」の2種類があります。特に無筋コンクリート基礎は、コンクリートの強度だけで建物を支えているため、ひび割れや劣化が起こりやすく、耐震性に不安が残ることもあります。
この記事では、リフォームや基礎補強施工を多数手がけるALT(アルト)の経験をもとに、以下のポイントをわかりやすく解説します。
- 無筋コンクリート基礎の住宅の特徴
- 無筋コンクリート基礎のリスクや危険性
- 劣化が進んだ場合に起こり得るトラブルとその対策
「自分の家の基礎が無筋かもしれない」「耐震性や補強の必要性を知りたい」という方に向け、ALT(アルト)施工事例も交え、具体的で実践的な情報をお届けします。
無筋コンクリートの基礎とは?
無筋コンクリートの基礎とは、建物を支える基礎に鉄筋(鉄骨)を一切使わず、コンクリートのみで構成された基礎のことを指します。内部に鉄筋が配置されている鉄筋コンクリート基礎(有筋基礎)と異なり、コンクリート自体の圧縮強度のみで上部の荷重を支える仕組みです。
無筋コンクリートが使われていた時期
無筋コンクリート基礎は、主に昭和以前の住宅や比較的軽量な建物で使われていました。
建築基準法で基礎の構造基準が明確化され、鉄筋コンクリート基礎が原則とされたのは2000年(平成12年)改正以降です。それ以前(1981年以前を含む)の住宅では、無筋コンクリート基礎が採用されていることが多く、耐震性や耐久性に不安がある場合があります。
(参照:国土交通省|建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件)
無筋コンクリートの基礎は、鉄筋が入っていない分、ひび割れや劣化が起こりやすく、耐震性や耐久性に不安があるのが特徴です。地震や地盤の沈下などの外力が加わると、鉄筋入りの基礎に比べてダメージを受けやすいため、早めの点検や必要に応じた補強が推奨されます。
無筋・有筋の基礎コンクリートの違い
住宅の基礎には、大きく分けて「無筋コンクリート基礎」と「鉄筋コンクリート基礎(有筋基礎)」の2種類があります。この2つの違いは、内部に鉄筋(補強用の鋼材)が入っているかどうかにあります。ここでは、それぞれの構造や特徴の違いを詳しく見ていきましょう。
無筋コンクリート基礎
無筋コンクリートは、コンクリートの圧縮強度だけで建物を支える構造です。コンクリートは押す力(圧縮)には強い一方で、引っ張る力(引張)には弱いため、地震や地盤の動きなどで引張応力がかかると、ひび割れや破断が起きやすくなります。
そのため、昭和50年代以前の木造住宅などでは、施工が簡単でコストを抑えられることから採用されていましたが、現代の耐震基準から見ると、構造的な安全性に不安が残ります。
鉄筋コンクリート基礎(有筋基礎)
一方、鉄筋コンクリート基礎は、コンクリートの中に鉄筋を格子状に組み込むことで、圧縮と引張の両方の力に強い構造を実現しています。コンクリートが押す力と、鉄筋が引っ張る力をそれぞれ分担し合うことで、地震や不同沈下にも耐えやすく、長期的な耐久性にも優れています。
そのため、2000年(平成12年)の建築基準法改正以降は、原則として鉄筋コンクリート基礎の採用が求められるようになり、無筋基礎はほぼ使われなくなりました。
| 項目 | 無筋コンクリート基礎 | 鉄筋コンクリート基礎(有筋) |
| 構造 | コンクリートのみ | コンクリート+鉄筋 |
| 強度特性 | 圧縮には強いが引張に弱い | 圧縮・引張の両方に強い |
| 耐震性 | 低い | 高い |
| 耐久性 | ひび割れやすく劣化しやすい | 長期的に安定しやすい |
| 施工コスト | 安い | 無筋より割高 |
| 採用時期 | 主に昭和以前 | 2000年以降が主流 |
無筋コンクリートの基礎に潜むリスク

無筋コンクリートの基礎は、鉄筋による補強がないため、ひび割れや劣化が起こりやすい構造です。特に地震や地盤の沈下など、建物に「引っ張る力」や「ねじれの力」が加わると、コンクリートがそれに耐えきれず、損傷につながるリスクがあります。
こうした劣化が進むと、次のようなトラブルが起こるおそれがあります。
1. ひび割れ(クラック)の発生
無筋コンクリートは、内部に鉄筋がないため、温度変化や乾燥収縮の影響を直接受けます。
その結果、ヘアークラック(細い表面のひび)や構造クラック(基礎全体に影響するひび)が発生しやすくなります。特に構造クラックは、雨水の浸入やシロアリ被害、基礎の強度低下の原因となるため注意が必要です。
2. 耐震性の低下
鉄筋がないため、地震時に引張応力が発生すると基礎が割れやすく、建物全体の耐震性が著しく低下します。特に、1981年(昭和56年)以前の旧耐震基準で建てられた住宅では、無筋基礎+構造的な弱点(筋交い不足など)が重なり、大きな被害につながるケースもあります。
3. 劣化の進行と不同沈下
コンクリート内部に鉄筋がないため、一度ひびが入ると補修しても再発しやすいのが特徴です。さらに、地盤の弱い場所では、不同沈下(建物の一部だけが沈む現象)を招くリスクもあります。放置するとドアや窓の開閉不良、床の傾きなど、居住性にも悪影響を及ぼします。
すでにひび割れがある場合は早めの点検を【放置厳禁】
無筋コンクリート基礎は、長年の経年劣化や地盤の影響で、様々な症状が現れやすくなります。
小さなひび割れやコンクリート表面の剥離だけでなく、鉄筋が入っていないため内部での強度低下や割れの拡大も起こりやすいです。こうした劣化が見つかった場合は、早めに専門家による点検を受けることが重要です。
ヘアークラック
ヘアークラックは、コンクリート表面に現れる幅1mm未満の細いひび割れです。主に乾燥収縮や温度変化によって発生し、建物の構造には大きな影響を与えません。
しかし、雨水や湿気が入り込むと、コンクリート内部の劣化や基礎の弱体化につながることがあります。軽度の場合は、表面補修や防水処理で対応可能です。
構造クラック
構造クラックは、基礎内部まで影響する幅1mm以上の大きなひび割れで、建物の耐震性や強度に直接関わります。
原因としては、不同沈下や地震などの外力が考えられます。発見した場合は、建築士や基礎補強の専門業者による早急な診断と補強工事が必要です。補強方法としては、アラミド繊維シートによる補強や基礎の増し打ちなどがあります。
自宅の基礎が無筋コンクリートか確認するには?
無筋コンクリート基礎かどうかを判断するには、目視での確認や専門家による診断が基本です。無理に基礎を叩いたり、穴を開けたりすると建物にダメージを与える可能性があるため、安全に注意しながら確認する方法を紹介します。
1. 施工時期を確認する
無筋コンクリート基礎は、主に1981年以前の住宅に多く使われています。建物の築年数や建築確認申請書をチェックするだけでも、基礎の種類を推測できます。
- 1981年以前:無筋基礎の可能性が高い
- 1981年以降、特に2000年(平成12年)の改正以降:鉄筋コンクリート基礎が原則
2. 外観からの目視チェック
基礎のひび割れや剥離、コンクリートの欠損の有無を確認します。
- 表面に細かいひび割れ(ヘアークラック)が多い
- 大きなひび割れや欠けがある
- コンクリートの端面が鉄筋で補強されていない様子(鉄筋の露出がなく、均一なコンクリートの塊)
これらは無筋基礎の特徴の一つです。
3. 専門業者による非破壊診断
確実に知りたい場合は、建築士や基礎補強の専門業者による診断が必要です。無筋基礎かどうかだけでなく、今後の補強やリフォームの必要性も同時に判断できます。
- レーダー探査や打音検査で鉄筋の有無を確認
- ひび割れの深さや内部の損傷を調査
無筋の基礎コンクリートを補強する方法
ご自宅の基礎が無筋コンクリートの場合は、耐久性や耐震面で不安があるため補強工事をおこなう必要があります。安全性を高めるための補強方法として、代表的なものを2つ紹介します。
アラミド繊維シートによる補強
無筋コンクリート基礎にアラミド繊維という、鉄の約5倍の高強度を持つ強化繊維シートを貼り付けて補強する工法(ハイブリッド工法)です。基礎の表面に樹脂で固定することで、基礎全体の強度を向上させます。重機を使用しないため工期は短く、工費も比較的抑えられます。
目安として、工期は1日から3日程度、費用は1メートルあたり2〜3万円です。
基礎の増し打ちによる補強
基礎の増し打ちは、無筋基礎の隣に新しく鉄筋を組み、抱き合わせる形でコンクリートを打設して補強する工法です。既存の基礎と一体化させることで、耐震性や荷重耐力を高めます。
鉄筋の配筋やコンクリート打設を伴うため、工期は長めで、建物全体の場合はおよそ1か月かかります。費用は1メートルあたり6〜8万円が目安です。
ALT(アルト)における無筋基礎の補修事例
ALT(アルト)では、築年数の経過した無筋コンクリート基礎に対しても、現場の状態に合わせた補強工事を行っています。
ここでは、築50年以上の木造住宅で実施した「全面基礎補強」 の事例を2件ご紹介します。
事例1:築50年以上・木造住宅

補修内容:全面基礎補強
築50年以上の無筋コンクリート基礎に対し、アラミド繊維シートを用いたハイブリッド工法による全面補強を実施しました。
経年劣化により複数のひび割れが確認されていましたが、補強後は基礎全体がしっかり支えられる状態となり、耐震性・耐久性ともに大きく改善。古い住宅でも、適切な補修によって安心して住み続けられる状態となりました。
事例:築50年以上・木造住宅

補修内容:全面基礎補強
1件目と同様、基礎全面に補強を実施。コンクリート表面の劣化を補修した上で、アラミド繊維シートを貼り付け、外観も整った美しい仕上がりとなりました。
無筋コンクリート基礎は早めの点検と補強を
今回は住宅の基礎に使われるコンクリートや、無筋コンクリート基礎の特徴について詳しくご紹介しました。最近建てられた住宅では鉄筋コンクリート基礎が一般的ですが、1981年以前に建てられた住宅では無筋コンクリート基礎が使われている可能性があります。
無筋コンクリート基礎は、ひび割れや劣化が起こりやすく、建物全体の耐震性にも影響するため、そのまま放置すると危険です。特に築年数が古い住宅では、専門業者による基礎の点検が必要です。
基礎の状態を確認し、必要に応じてアラミド繊維シートの貼付や基礎の増し打ちといった補強工事を行うことで、建物の耐震性や安全性を確保することができます。早めの点検と補強で、住まいの安全性を守りましょう。








