家の基礎補強工事中に雨が!コンクリートに水たまりができても大丈夫な理由
家の土台となる基礎工事中にずっと雨だと、コンクリートに悪影響が出るのではないかと不安になりますよね。実は、雨の日の施工は問題ない場合がほとんどで、基礎の性能や品質に悪影響を及ぼすことはありません。むしろ、乾燥している晴天の方がひび割れの原因になることもありますので、詳しく紹介していきます。
基礎コンクリートの工事中が雨でも強度に影響はない
雨の日の基礎工事は問題がないとはいえ、コンクリートの上に水たまりができると心配になりますよね。しかし、このような水浸しの状態でも、基礎の強度に問題が出ることはありません。
基礎工事中に雨が降っても影響がない理由は、コンクリートが固まる構造を知ると、わかりやすくなります。
コンクリートは化学反応で固まる
コンクリートは乾燥して固まるのではなく、セメントと水の化学反応で固まります。この化学反応は「水和反応」と呼ばれます。
コンクリート施工の流れを見てみましょう。
コンクリートが水和反応を起こすのは「打設後」です。水和反応には「水」が必要になるため、基礎工事中は雨よりも乾燥を避ける必要があります。打設後のコンクリートにブルーシートをかけるのは雨対策ではなく、一定の湿度を保ちながら乾燥を防ぐためです。
水和反応が終わるまでには何十年という月日がかかりますが、コンクリートは打設後28日で必要な強度が出るように設計されています。特に打設後7日間は強度が形成されるスピードが速いので、この間の管理は大変重要です。
基礎コンクリートに悪影響を及ぼす雨とは?
基礎工事中の雨は問題がない場合がほとんどですが、以下のタイミングでの雨は注意が必要です。
・コンクリート打設中の雨
コンクリートの強度を出すにはセメントと水の割合が重要で、計算された配合通りでないと強度が弱くなります。
水和反応が始まるのはコンクリートの打設後なので、その前に雨が混ざるとセメントと水の割合が変わってしまい、想定していた強度が出ない可能性があるのです。
ただし、コンクリート1㎡に必要な水の量は、150~200リットルと大量なので、多少の雨なら影響はほとんどないでしょう。
・土間コンクリート仕上げ中の雨
コンクリート打設後の均し作業中に雨が降ると、コンクリートの表面が荒らされて仕上がりがキレイにならないことがあります。
基礎工事の工程
基礎工事の主な工程を見ていきましょう。
地縄張り〜砕石敷
・地縄張り→根切り→砕石敷
地盤調査を終えたら、建設予定地の外周に縄やロープで印をつける「地縄張り」をします。次に、建設予定地を重機で掘り返す「根切り」を行い、掘った場所に細かく砕いた石を敷き詰めて固めます。
地縄張りから砕石敷までは、地盤の耐久性を高めるための工程なので、「基礎工事の基礎」とも言えます。
防湿シート施工〜基礎外周型枠組
・防湿シート施工→捨てコン→鉄筋組み→型枠組み
「基礎工事の基礎」が終わったら、地面から生じる湿気を防ぐために「防湿シート」を敷いて、周りに「捨てコン」と呼ばれるコンクリートを流します。 捨てコンは更地に建物を建てるための「目印」なので、基礎の強度には影響を与えません。
捨てコンを目印にしながら鉄筋を組み終えたら、基礎の形に枠を組んでコンクリートを流す準備をします。
生コンの打設
運ばれてきたコンクリートを検査し、異常が見つからなければ型枠に打設します。打設が終わったら、コテなどを使ってコンクリートの表面を平らにする「均し作業」を行います。
養生〜仕上げ
・養生→型枠外し→雑コン→仕上げ
コンクリートの強度は水とセメントの水和反応によって現れるため、基礎から水分が蒸発しないように「湿潤養生」を行ないます。
コンクリートの強度が出たら型枠を外して勝手口の土間を作ったり、繋ぎ目などの不要な部分を削ったりする「雑コン」を行ない仕上げていきます。
まとめ
コンクリートは水との化学反応で固まるため、水とセメントの比率が大きく変わらない限りは、雨が降っても強度に影響はありません。コンクリート打設後の天敵は雨ではなく「乾燥」です。
ただし、以下のタイミングで雨が降ると、コンクリートの強度に悪い影響を及ぼす可能性があります。
・コンクリート打設中
・土間コンクリート仕上げ中
頑丈な家づくりには強固な基礎が必要であり、そのためにはコンクリートが硬化する環境を整える必要があります。基礎のコンクリートに関して、他にもわからないことや不安は出てくると思いますので、専門業者に確認しながら進めていきましょう。