家の基礎工事とは?家を建てる前に知っておくべきポイントを紹介!
基礎は家の質と寿命を左右する大切な部分です。新築住宅でも施工不良が起きる可能性はあるので、基礎工事の流れやチェックポイントは必ず確認しておきましょう。
そこで本記事では、家の基礎の種類や基礎工事の流れ、基礎を長持ちさせる方法などについて詳しく解説していきます。手抜き工事による基礎のひび割れや穴を事前に防ぐポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
家の基礎が重要な理由
基礎は、家の重さや地震の揺れを地盤に伝えて家を支える大切な部分です。そのため、基礎工事が不十分だと、重さを支えきれずに家が傾いたり、震災で家が倒壊したりする恐れがあります。
安全に長く住める家を建てるには、強い地盤だけではなく、しっかりとした基礎が欠かせません。
耐久性に優れた家の基礎とは?
基礎の高さは、建築基準法によって30㎝以上と定められています。実際には40㎝前後の住宅がほとんどですが、近年では1mを超える高基礎住宅も増えています。
ただし、高基礎は家の耐久性が低下する恐れがあるので、メリットとデメリットを踏まえたうえで基礎の高さを決めることが大切です。
家の基礎の種類
家の基礎には主に「布基礎」と「ベタ基礎」の2種類があります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
ベタ基礎
建物の床下全体をコンクリートで覆うのが「ベタ基礎」です。近年主流となっている工法で、地震の揺れや不同沈下にも強く、地中から上がってくる湿気を遮断したり、シロアリの侵入を防いだりするメリットがあります。
一方で、床下全面にコンクリートを使用するのでコストが上がりやすいのがデメリットですが、品質や建物の評価は高いです。なお、ベタ基礎だからといって完全にシロアリをシャットアウトできるわけではないので、シロアリ対策は必須です。
布基礎(ぬのきそ)
建物の柱や壁の部分にだけ基礎を作るのが「布基礎」です。部分的に基礎を作るため、コストがかからないというメリットがあります。地盤が強い場所や、建物があまり重くない木造、軽量鉄骨の基礎に用いられる工法です。
布基礎は地面のほとんどが露出しているので、地中から進入してくるシロアリへの対策が必要になります。また、築年数が経過すると家のバランスが崩れやすくなるデメリットもあります。
家の基礎工事の工程・流れ
ここからは、家の基礎工事の工程を詳しくご紹介していきます。作業中のチェックポイントもご紹介しますので、施工不良が気になるという方も、ぜひ参考にしてください。
1.水盛り遣り方
基礎工事の前に、建物の正確な位置を割り出していきます。近年では「レーザーレベル」と呼ばれる測量機を使って、根切りの深さや基礎の高さを決める業者も増えてきました。
2.根切り
基礎の底になる箇所まで掘削するのが「根切り」です。地域によって掘削工事の内容は変わります。たとえば、寒冷地域では凍結による影響を防ぐために、基礎の底を凍結深度まで下げて掘削をおこないます。
3.砕石敷き
砕石と呼ばれる石を敷き詰めてから、機械を使って地盤を固めます。ここまでは「基礎の基礎」を造るための工事です。
4.捨てコンクリート流し
地面からの湿気が侵入しないよう防湿シートを敷いて、捨てコンクリートを外周部に流していきます。捨てコンクリートは建築位置を間違えないようにするための「印」なので、基礎の強度には影響を与えません。
5.基礎配筋
基礎の鉄筋部分を組んでいきます。基礎配筋にかかる日数は2~3日です。配筋は基礎の寿命や強度に影響するため、建築基準法でさまざまなルールが決められています。
施工不良が気になる場合は、「鉄筋と型枠との間に4cm以上の間隔があるか」や「隣の鉄筋との間隔が30cm以内か」などをチェックしておくといいでしょう。
6.型枠とアンカーボルトの設置
基礎の外周に木製や鉄製などの型枠を組んで、基礎コンクリートを流す準備をする工程です。型枠を組み終えたら、建物と基礎をつなぐ金属製の「アンカーボルト」を設置します。
アンカーボルトは大切な部材なので、住宅金融支援機構の基準である「アンカーボルトの間隔は2.7m以内」が守られているかどうかをチェックしておきましょう。
7.生コンクリート打設
型枠にコンクリートを流し込む作業です。コンクリートを流し込んだあとは、コンクリートを長持ちさせるために一定の期間をおきます。これを「養生」と呼びますが、一般的な養生期間は4~5日です。
養生期間の長さは基礎の強度に影響するので、必ず現場を確認するようにしましょう。4日が経過する前に次の工程に進む業者は手抜き工事をしている可能性があります。なお、雨の日の翌日には型枠を外さないのが一般的なので、天候もチェックしておきましょう。
8.仕上げ
養生期間を過ぎたら型枠を外し、ひび割れなどを確認して終了です。基礎工事の全工程に要する期間は、約1か月から1か月半ほどになります。
基礎の着工前・着工後にチェックすべきポイント
基礎の施工不良や手抜き工事を防ぐためにも、着工前・着工後にチェックすべきポイントを確認しておきましょう。
基礎の着工前にチェックすべきポイント2つ
着工前に確認すべきポイントは、次の2つです。
1.基礎伏図とプレカット図
現場でのチェックに欠かせない実施設計図です。着工前に受け取っていない場合には業者に請求しましょう。
2.地盤に適した工法かどうか
地盤の強い土地や地盤改良を行なった場合は、布基礎を採用しても問題ありません。地盤の状況に合わせて工法を選択してください。
基礎の着工後にチェックすべきポイント4つ
着工後に確認すべきポイントは、次の4つです。
1.配筋の間隔や厚さ
鉄筋の錆びを防ぐために、鉄筋と型枠との間隔が4cm以上空いているか確認しましょう。また、隣の鉄筋と30cm以内になっていることも重要です。間隔が広いと基礎の強度が弱くなるので注意してください。
2.アンカーボルトの間隔
基礎と土台を繋ぐアンカーボルトの間隔が開きすぎていると強度に悪影響を及ぼします。それぞれの間隔が2.7m以内であれば問題ありません。
3.型枠を外すまでの日数
型枠を外すまでは最低でも4日以上は必要です。なお、雨が降った日の翌日に型枠を外すと強度に影響するので、天候も確認しておきましょう。
4.基礎のサイズ
コンクリートの打設後はサイズを確認します。主なチェックポイントは下記のとおりです。
・立ち上がり幅12cm以上
・外周の高さ30cm〜40cm以上
・捨てコンまでの高さ24cm以上
・内側の立ち上がりは外周の立ち上がりより5cm低い
基礎のサイズが不十分だと弱くなってしまうため、メジャーを持参して測るようにしてください。
基礎を長持ちさせる方法
コンクリートの寿命は半永久的ですが、中性化が進行するとコンクリート内部の鉄筋が錆びて耐久性が低下します。一般的には、鉄筋が約20%錆びた時点でコンクリートの寿命と判断されます。
鉄筋が錆びたコンクリートは建物を支える力を失います。そのため、基礎の寿命を延ばすためには「基礎コンクリート内部の鉄筋を錆びさせないこと」が何よりも重要です。
床下の湿気やシロアリ予防、水漏れ補修といった日常的な対策を行なって、基礎コンクリートの中性化を防いでいきましょう。
家の基礎にひび割れがある場合の補修方法
気温の変化やコンクリートの中性化が原因で、家の基礎にひび割れが発生することがあります。ひび割れを放置しておくと基礎の劣化が進行するため、早めの補修が必要です。
なお、補修方法には主に次の3種類があります。
1.アラミド繊維シートの貼り付け
耐久性に優れた素材「アラミド繊維」を使ったシートで補修する方法です。基礎の補修だけではなく、耐震性の向上にも役立ちます。費用の相場は2〜3万円/㎡です。
2.ビックス工法
ゴムチューブ製の特殊な注入器で樹脂を注入する工法です。0.1mm程度の小さなひび割れにも対応できます。費用相場は、ひび割れ1カ所につき1~2万円です。
3.Uカットシール工法
ひび割れに沿って樹脂やモルタルを充填する工法です。幅の広いひび割れや深いひび割れに対応できます。費用相場は、ひび割れ1カ所につき1~2万円です。
家と基礎の隙間には注意
家と基礎に隙間が生じている場合は、地盤の歪みによって建物が傾く「不同沈下」が起きている可能性もあります。
隙間を発見した場合は基礎の劣化と決めつけず、専門業者に住宅診断を依頼しましょう。
家の基礎を長持ちさせるには「基礎補強」がおすすめ
家を長持ちさせるために検討したいのが「基礎補強工事」です。適切な基礎補強を施せば、基礎の寿命を伸ばすことができます。施工方法によっては、半永久的に基礎の強度を保つことができるので、何度も基礎の補修をおこなう必要もありません。
新築でも基礎補強はすべき!
新築住宅でも、基礎工事の施工不良や手抜き工事が行われていれば、耐久性は低下します。新築の基礎にひび割れや穴が見られる場合は、専門業者に点検と補強を依頼しましょう。
先述のとおり、基礎補強は施工法によって半永久的に効果が持続するので、施工が早ければ早いほど費用対効果が高くなります。
まとめ
大切な家に安心して長く住むためには、頑丈な基礎を造る工事が欠かせません。知識がなければどのような工事をしているのかが、まったくわからないので、事前に基礎工事の流れをチェックして正しい工事がおこなわれているかどうかを確認しましょう。
また、家を長持ちさせるには基礎補強がおすすめです。住宅の基礎には、建物の荷重や外から加わる力を地盤に伝える大切な役割があります。
そのため、基礎補強を行って、基礎コンクリートの寿命や劣化で住宅の耐久性が低下するのを防ぎましょう。