【住宅基礎のクラック】許容範囲と注意すべきひび割れ!補修方法も詳しく解説
近年では住宅の耐震性能が重視されているため、家の基礎にクラック(ひび割れ)を発見して不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
クラックは、その幅や深さによって危険度が異なるので、許容範囲や適切な対応方法を誤ると、建物全体の強度低下を招く恐れもあります。
本記事では、クラックの種類別危険度やクラックが発生する原因、主な補修方法などについて詳しくご紹介します。基礎クラックで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
基礎のクラックは危険? 許容範囲はあるのか
基礎のクラックを放置すると、以下のような危険性があります。
1.鉄筋のサビ
基礎に発生したクラックを放置すると、ひび割れからコンクリート内部に雨水が浸入して、鉄筋にサビが生じます。幅0.2mm程度のわずかなクラックでも、雨水侵入の可能性があるので注意が必要です。
2.耐震性の低下
幅が広く深いクラックは、耐震性能の低下を招きます。そのまま放置すると、大型地震で建物が倒壊することもあるので危険です。
基礎クラックの種類と許容範囲
基礎クラックには、主に2種類があります。
・ヘアークラック
幅0.3mm未満、深さ4mm未満のクラックです。髪の毛のように細いので「ヘアークラック」と呼ばれます。
強度に悪影響を与えることはないので許容範囲内ですが、基礎全体に数多くのヘアークラックが発生している場合は、専門業者に点検を依頼してください。
・構造クラック
幅0.3mm以上、深さ4mm以上の深刻なクラックです。ひび割れがコンクリート内部の鉄筋にまで達しているケースが多いため、基礎の補強が必要になります。
構造クラックを放置すると、住宅に傾きが生じて様々なトラブルが起こったり、地震で建物が倒壊したりする原因になるので放置は厳禁です。
基礎にクラックが発生する原因6つ
基礎にクラックが発生する原因は、主に6つあります。
1.乾燥による収縮
コンクリート内部の水分が乾燥によって蒸発し、基礎が収縮することでクラックが生じます。基礎クラックの多くは、この「乾燥による収縮」が原因です。
コンクリートが自由に変形できる状態なら乾燥による収縮は起こりませんが、住宅の基礎は固定されているため、引っ張る力に耐えられずクラックが発生します。
2.気温の変化
コンクリートには、気温が急激に低下すると縮む性質があるため、乾燥による収縮と同じように、収縮時の力に耐えられずクラックが生じます。
3.コンクリートの中性化
アルカリ性のコンクリートで覆われている内部の鉄筋は、酸化しないのでサビません。しかし、時間の経過とともに、コンクリートと空気中の二酸化炭素が反応して「中性化」を起こすとサビが生じます。
サビが発生した鉄筋は膨張するため、コンクリートが内部からの力に耐えられず、基礎の表面にクラックが発生するのです。
4.不同沈下
不同沈下は、地盤の弱い場所に建っている住宅に起こる現象です。軟弱な地盤が建物の重さで沈下すると建物が傾いて歪んでしまうので、基礎にクラックが発生します。
5.施工不良
施工時に適切な基礎工事を行わないとコンクリートが強度を保てず、基礎を支えきれなくなってクラックが生じてしまいます。
6.地震
大きな地震の直後にクラックが生じることがあります。築年数が経過している建物は、小さな地震の積み重ねでもクラックが生じるので注意してください。
基礎のクラックが爆裂している場合は注意!
鉄筋コンクリートの基礎は、以下のような理由で内部の鉄筋がサビて膨張します。
・コンクリートの中性化
・酸性雨
・ひび割れからの雨水侵入
鉄筋が膨張すると、コンクリートが破裂したように割れて、そこから鉄筋が露出する「爆裂現象」が起こることがあります。
爆裂現象が起きたコンクリートは、鉄筋のサビが進行して強度不足になっているため、早急に補修しなくてはいけません。
基礎のクラックの補修方法
DIYで基礎のクラックを補修する場合は、以下の手順で行います。
小さなクラックはこれで補修できますが、あくまでも「応急処置」と考えてください。被害の拡大を防ぐためにも、必ずプロに依頼して本格的な補修を行いましょう。
基礎クラックをDIYで補修する手順
- 「クラックスケール」などでクラックの幅を測定する
- 補修したい箇所をマーキングして周囲を清掃する
- 水が漏れていない場合は、基礎を水で湿らせる
- 市販の補修剤で補修する
- 表面を平滑に仕上げる
基礎を劣化から守るには「基礎補強工事」が重要
基礎補強工事とは、家の基礎そのものの強度を向上させることを目的とした工事です。
基礎コンクリートには寿命があるので、ひび割れなどの劣化は必ず起こります。しかし、適切な基礎補強工事を施せば、コンクリートの寿命を伸ばすことが可能となります。
施工方法によっては「半永久的」に強度を保てるため、何度も補強工事を行う必要はありません。コンクリートの劣化を防ぎ、家の寿命を伸ばすためにも、基礎の補強工事は必須といえるでしょう。
まとめ
基礎のクラックはコンクリートの乾燥による収縮や気温の変化、コンクリートの中性化などによって発生します。
基礎クラックの種類は、主に以下の2種類です。
・ヘアークラック:幅0.3mm未満、深さ4mm未満のクラック。
・構造クラック:幅0.3mm以上、深さ4mm以上のクラック。専門業者による点検は必須。
許容範囲かどうか心配な場合は、必ず専門業者に点検を依頼しましょう。クラックが爆裂している場合は、基礎コンクリートが強度不足に陥っているため、早急な補強が必要です。
コンクリートには寿命があるので劣化は必ず起こりますが、「基礎補強工事」を行えば基礎コンクリートを劣化から守り、建物の寿命を伸ばせます。
被害の拡大を防ぐためにも、基礎クラックの本格的な補強は必ずプロに依頼してください。