基礎コンクリートの爆裂はなぜ起こる?危険性や補修工事について解説

基礎コンクリートの爆裂はなぜ起こる?危険性や補修工事について解説

基礎コンクリートに生じる爆裂は、内部の鉄筋が腐食して膨張することでコンクリートが破壊される深刻な劣化です。表面的に小さなひび割れしか見えなくても、内部では劣化が進行している可能性があり、放置すると建物の耐久性や安全性を大きく損なう恐れがあります。

この記事では、これまで多くの基礎爆裂の補修に携わってきた ALT(アルト)が、爆裂が起こる仕組みや原因、劣化が進むプロセス、そして発生時の補修方法や予防策について、専門的な視点からわかりやすく解説します。

基礎コンクリートの爆裂とは

基礎の内側で膨張が起こり、外側へ破裂するように欠損が生じる状態を「爆裂(ばくれつ)」と呼びます。

爆裂は、コンクリート内部に水分や二酸化炭素が入り、鉄筋が錆びて膨張することで、周囲のコンクリートが割れたり剥がれ落ちたりする現象です。表面に小さなひび割れが見えるだけでも、内部で鉄筋が腐食していることがあり、放置すると建物の強度や安全性に深刻な影響を及ぼします。

爆裂は建物の寿命や耐久性に直結する重大な劣化で、錆びて膨張した鉄筋は基礎の強度を低下させ、建物を支える力を弱めます。そのため、地震や強風などの外力に対して危険性が高まります。さらに、ひび割れやコンクリートの欠落は建物の外観にも影響し、雨水の侵入を許すことでさらなる劣化を招く原因にもなります。

爆裂が進行する流れ

基礎の爆裂は以下のような流れで段階的に進行します。

  1. コンクリート表面に微細なひび割れが発生
  2. ひび割れから雨水や空気(二酸化炭素)が内部に入り込み、鉄筋が腐食し始める
  3. 錆びた鉄筋が膨張し、内部からコンクリートを押し広げる
  4. 圧力が強まると、コンクリートの一部が剥がれ落ちる
  5. 放置すると、ひび割れの反対側まで影響が広がり、さらに大きな損傷につながる

爆裂を起こす基礎コンクリート劣化の主な原因

先ほど解説したように、基礎コンクリートの爆裂は、内部の鉄筋が腐食して膨張することで発生します。鉄筋の腐食にはさまざまな要因がありますが、その入口となるのが、基礎に生じたひび割れや経年劣化です。

ここからは、爆裂を引き起こす代表的な基礎劣化の原因について、順に見ていきます。

コンクリートの中性化

コンクリートは時間の経過とともに化学的な変化が進み、内部のアルカリ性が低下する「中性化」が起こります。アルカリ性が失われると鉄筋を保護する力が弱まり、鉄筋が腐食しやすくなります。

鉄筋が錆びると膨張して周囲のコンクリートにひび割れや剥離を引き起こし、爆裂のリスクが高まります。

水分

基礎のひび割れや小さな隙間から雨水や地下水が侵入すると、鉄筋の腐食が進みます。水分は腐食を促進するだけでなく、コンクリート自体の劣化も加速させます。

そのため、湿気の多い環境や排水不良の場所では特に注意が必要です。

乾燥収縮

コンクリートは乾燥する過程で収縮し、微細なひび割れを生じます。これらのひび割れは、水分や空気の侵入経路となり、鉄筋の腐食につながります。

また、乾燥と湿潤の繰り返しによってひび割れが広がり、劣化が進行しやすくなります。

気温の変化

昼夜や季節による気温の変化は、コンクリートの膨張と収縮を繰り返させます。この繰り返しの応力によって微細なひび割れが生じ、水分や二酸化炭素の侵入が起こりやすくなります。

結果として鉄筋の腐食リスクが高まり、爆裂につながります。

地震

地震や強い揺れは、すでにひび割れや劣化が進んだ基礎に大きな負荷をかけます。膨張した鉄筋によってコンクリートが押し広げられ、剥離や欠落が進行することで、爆裂のリスクをさらに高めます。

凍害

寒冷地や冬季では、基礎内部に侵入した水分が凍結すると膨張し、コンクリートに亀裂を生じさせます。これが凍害であり、鉄筋が錆びやすい環境を作るため、爆裂の原因となります。

塩害

海岸沿いや塩分を含む風の影響を受ける場所では、コンクリートに塩分が浸透します。塩分は鉄筋の酸化を促進し、膨張や剥離を引き起こしやすくなります。そのため、沿岸部の基礎は特に爆裂のリスクが高まります。

基礎コンクリートの爆裂を補修する方法

基礎コンクリートの爆裂は、表面だけでは損傷範囲を正確に判断できません。そのため、補修に取りかかる前に状態をしっかり確認することが重要です。

具体的な工程は以下のステップで進められます。

【補修のステップ】

  1. 打診調査:ハンマーで軽く叩き、内部の浮きや損傷範囲を確認
  2. 劣化コンクリートの除去:脆弱なコンクリート部分をはつり作業で取り除く
  3. 鉄筋処理:露出した鉄筋の錆落としと防錆処理を実施
  4. 欠損部の充填:補修モルタルや樹脂モルタルで隙間を埋める
  5. 基礎補強と仕上げ:必要に応じて基礎補強工事を行い、表面を整えて塗装や保護材で仕上げ

爆裂補修には専門的な技術が求められるため、経験豊富な業者へ依頼することが安全です。補修後は定期的に基礎の状態を点検することで、再発防止や建物全体の耐久性維持につながります。

補修費用の目安と工期

基礎の爆裂補修にかかる費用は、損傷の程度や補修方法によって異なります。

軽度のひび割れであれば数万円〜十数万円程度です。一方、鉄筋が露出していたり、コンクリートの剥離が広範囲に及ぶ場合は、数十万円〜100万円前後になることもあります。

工期は、軽度の補修であれば1日〜数日程度で完了しますが、本格的な補修工事では1週間前後かかることがあります。鉄筋の防錆処理や補修材の乾燥期間を考慮すると、工期には余裕を持つことが重要です。

補修費用や工期は業者によって差があるため、複数社から見積もりを取り比較することをおすすめします。早めに補修することで、後々の大規模な工事や費用増加を防ぎ、建物全体の耐久性を維持できます。

ALT(アルト)が手がけた基礎爆裂の施工事例

ALT(アルト)では、爆裂が発生した基礎の補修を多数手がけています。ここでは、実際の現場で確認された爆裂の状態と、その補修内容を具体的な施工事例として紹介します。

施工事例1

  • 換気口付近で大きな横方向のひび割れが発生
  • ひび割れ部分のコンクリートが欠落し、鉄筋が露出
  • 鉄筋には明らかな錆が確認できる状態

このような状態を放置すると、鉄筋の腐食がさらに進み、爆裂の範囲が広がるだけでなく、基礎全体の耐久性が低下してしまいます。建物の安全性を守るためにも、早急な補修が必要なケースです。

【施工内容】

現場では、劣化したコンクリートを慎重に取り除いたあと、露出した鉄筋の錆を丁寧に落とし、防錆処理を実施しました。その後、欠損部を補修モルタルで充填・整形し、基礎としての強度と耐久性を回復させる補修を行っています。

施工事例2

  • 基礎の天端(最上部)付近のコンクリートが広範囲にわたり崩落
  • 崩落した箇所から、鉄筋が深く露出した状態
  • 露出した鉄筋は、激しく腐食して赤錆びが確認できる状態

このような状態を放置すると、鉄筋の腐食がさらに進み、爆裂の範囲が広がるだけでなく、鉄筋の機能が失われ、基礎全体の耐久性が著しく低下します。建物の構造的な安全性を守るためにも、早急な補修が必須となる深刻なケースです。

【施工内容】

現場では、爆裂により劣化した脆弱なコンクリートを慎重に除去しました。その後、露出した鉄筋の錆を専用工具で丁寧に落とし、将来の腐食再発を防ぐための防錆処理を実施しました。

最後に、欠損部を高強度の補修モルタルで隙間なく充填・整形し、失われた基礎の断面と強度、耐久性を回復させる補修を行いました。

基礎の爆裂を防ぐための予防策

基礎の爆裂を防ぐには、日頃からの点検と早めの対策が重要です。ここでは特に実践しやすい予防策を3つ紹介します。

1.定期的な基礎のひび割れチェック

コンクリート表面に微細なひび割れや変色がないか、定期的に確認しましょう。小さなひび割れでも放置すると鉄筋の腐食につながるため、早期発見が重要です。

また、専門業者による無料や低価格の点検サービスを活用すると、内部の状態まで正確に把握できます。

2.湿気や水分の影響を防ぐ

基礎周りに水が溜まらないように地面の傾斜や排水の状態を整え、雨水や湿気が基礎に直接触れない環境を作りましょう。湿気や水分が少ない環境を維持することで、鉄筋の腐食リスクを大幅に減らせます。

3.早めの基礎補強

基礎に小さな亀裂が現れる前に補強しておくことは、劣化の進行を抑え、建物の耐久性を長期的に維持するうえで効果的です。補強方法によっては持続的な効果が期待でき、将来的な大規模修繕のリスクも減らせるため、費用対効果の面でも優れた選択です。

近年では、築浅住宅でも予防的に基礎補強を行うケースが当社への依頼で増えており、後から大規模な補修が必要になるリスクを避けるため、早めに対策をとる方が多い傾向にあります。

基礎の爆裂は放置せず、すぐに専門家に相談を

基礎の爆裂は、見た目には小さなひび割れでも内部で深刻な劣化が進行していることがあります。自分で判断するのは難しく、放置すると建物全体の耐久性に影響を及ぼすリスクがあります。

そのため、爆裂が疑われる場合は早めに専門家に相談することが重要です。専門家による点検では、鉄筋の腐食状況やコンクリートの劣化程度を正確に把握でき、最適な補修方法や工期、費用の見積もりを提案してもらえます。

早期に対処することで、建物の寿命を延ばし、補修費用や工事規模の増加を防ぐことができます。小さな異変でも軽視せず、まずは専門家に相談することが、安全で安心な住宅維持につながります。

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