
新築や築年数が浅い家なのに、基礎にひび割れが見つかると不安になりますよね。
中には心配のいらない軽微なひび割れもありますが、ひびの大きさや深さによっては構造に影響する場合もあり、早めの補修が必要になることがあります。そのため、どのようなひび割れなのかを正しく見極め、適切に対処することが大切です。
この記事では、以下の内容について詳しく解説します。
- 新築住宅でも基礎にひび割れが起こる原因
- 特に注意すべきひび割れの見分け方
- 基礎のひび割れ補修方法・費用相場
新築の家の基礎にひび割れが起きてお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
新築でも基礎のひび割れは起こる?
新築や築年数が浅い家でも、基礎にひび割れが発生することは珍しくありません。
コンクリートは打設後もしばらくの間、乾燥や温度変化の影響を受けやすく、完全に硬化するまでにはおよそ1年ほどかかります。そのため、この期間に生じる細かなひび割れは、ほとんどの場合で構造上問題のない自然な現象です。
ただし、基礎のひびの数が多い場合や、幅・深さが大きい場合には注意が必要です。基礎のひび割れが進行すると、建物の耐久性や安全性に悪影響を及ぼす可能性があります。
住宅の基礎は建物全体を支える重要な部分です。「新築だから大丈夫」と自己判断せず、気になるひび割れを見つけたら、早めに専門業者へ相談することをおすすめします。
基礎のひび割れの種類

ひと口に「ひび割れ」といっても、その種類によって原因や危険度は大きく異なります。新築時に起こるごく浅いひび割れもあれば、建物の構造そのものに影響を及ぼす深刻なケースもあります。
見た目だけでは判断がつきにくいため、それぞれの特徴を正しく理解しておくことが大切です。
危険度レベル小〜中:ヘアークラック
新築の基礎で最も多く見られるのが「ヘアークラック」と呼ばれる細いひび割れです。
幅0.3mm以下、深さ4mm未満ほどのごく浅いひびで、コンクリートが乾燥する際の収縮や温度変化が主な原因です。
このタイプのひび割れは構造にはほとんど影響しないため、すぐに補修が必要というわけではありません。ただし、幅が徐々に広がったり、複数箇所に現れたりする場合は、念のため専門業者に点検を依頼しましょう。
危険度レベル大:構造クラック
「構造クラック」は、幅0.3mm以上・深さ5mm以上の比較的大きなひび割れで、基礎内部の鉄筋やコンクリート構造にまで達している可能性があります。
原因としては、施工不良や地盤沈下、地震などの自然災害による外的要因などが考えられます。放置すると、鉄筋の腐食や耐久性の低下につながる恐れがあり、早急な補修が必要です。目安としては、「名刺が入るほどの幅」や「縦に長く伸びているひび割れ」は注意が必要です。
ひび割れ以外にも注意したい症状:基礎の雨染み
ひび割れがなくても、基礎の表面に黒ずみやシミが出ている場合は要注意です。これはコンクリート内部に水分が染み込み、湿気が滞留しているサインかもしれません。放置すると鉄筋の錆びやカビの発生、シロアリ被害につながるおそれもあります。
見た目が軽微でも、湿気や水の通り道ができている可能性があるため、気づいた時点で専門業者に相談するのが安心です。
新築住宅でも基礎のひび割れが発生する原因
新築の住宅であっても、基礎にひび割れが生じることは決して珍しいことではありません。ここでは、その代表的な原因を4つご紹介します。
原因1. コンクリートの乾燥収縮
コンクリートは、打設後に内部の水分が蒸発していく過程で体積が少しずつ縮みます。この乾燥収縮によって、表面に細かいひび割れ(ヘアークラック)が発生することがあります。
特に、打設後すぐに乾燥してしまう環境(風が強い・気温が高いなど)では、水分が急激に抜けることでひび割れが起こりやすくなるため注意が必要です。
乾燥収縮によるひび割れは浅く、構造への影響はほとんどないケースが多いですが、劣化が進行するおそれがあるため、経過を観察しておくことが大切です。
原因2. 気温変化
コンクリートは温度によって膨張・収縮する性質を持っています。そのため、昼夜の寒暖差や季節の変化によって、基礎表面に微細なひび割れが生じることがあります。
とくに夏場のように日中と夜間の温度差が大きい時期は、外気温と内部温度の差によって表面に応力がかかり、クラックが発生しやすい傾向にあります。
原因3. 建築時の施工不良
施工の精度が十分でない場合も、基礎にひび割れが発生する原因となります。たとえば、コンクリートの配合に対して水の量が多すぎたり、打設後の養生(乾燥防止や温度管理)が不十分だったりすると、内部にすき間ができやすくなります。
また、鉄筋の配置やかぶり厚が適正でない場合も、強度のムラやひび割れを引き起こす一因です。こうした施工不良によって硬化不良が起こると、基礎の一部に過度な応力が集中し、ひび割れが生じやすくなります。
新築であっても、施工精度の違いによって基礎の耐久性やひび割れの発生リスクは大きく変わることを覚えておきましょう。
原因4. 地震・地盤沈下などの外的要因
地震や地盤沈下など、外的な要因によって基礎に負荷がかかり、ひび割れが発生することもあります。特に、地盤の一部が沈下する不同沈下が起こると、建物にねじれや傾きが生じ、基礎に縦や斜め方向の大きなひび割れが入ることがあります。
また、地震による揺れや振動によって、内部の鉄筋に応力がかかり、ひび割れが拡大するケースもあります。このような外的要因によるひび割れは、放置すると構造的なダメージにつながるため、専門業者による早めの調査・補修が重要です。
基礎のひび割れを放置すると危険な理由

基礎のひび割れを「小さいから大丈夫」と放置してしまうと、見えない部分で少しずつ劣化が進行してしまうおそれがあります。
ここでは、ひび割れを放置することで起こり得る主なリスクを3つ紹介します。
1.腐食による基礎の強度低下
コンクリートの内部には、建物の強度を保つための鉄筋が埋め込まれています。ひび割れを通して雨水や湿気が内部に入り込むと、鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートの剥離や内部破損を引き起こすことがあります。
このような鉄筋の腐食が進行すると、基礎全体の耐久性や建物の構造強度が低下し、最悪の場合、建物の傾きやひび割れの拡大にもつながります。
2.床下のシロアリ被害
ひび割れの隙間から雨水や湿気が侵入すると、基礎まわりの湿度が上昇し、シロアリが好む環境ができやすくなります。また、ひび割れ部分からシロアリが内部へ侵入しやすくなるケースもあります。
シロアリは木材部分を食害するため、放置すると床下だけではなく建物全体に深刻な被害が及ぶこともあります。特に新築住宅では「まだ大丈夫」と油断しがちですが、早期の点検が被害防止につながります。
3.補修費用が大きくなる
小さなひび割れのうちは簡易的な補修で済むことが多いですが、放置して悪化してしまうと、内部補修や鉄筋の交換、場合によっては基礎全体の補修が必要になることもあります。
当然ながら、補修範囲が広がるほど費用も高額になり、工期も長くなります。そのため、早めの発見と対応が結果的にコストを抑えるポイントになります。
基礎のひび割れの補修方法・費用
市販の補修材を使えば、ご自身で簡易的にひび割れを補修することもできます。しかし、基礎のひび割れは原因を正しく見極めて対処しないと、かえって症状を悪化させるおそれがあります。そのため、補修は必ず専門業者に依頼しましょう。
ここでは専門業者が行う代表的な3つの補修方法をご紹介します。
1.ビックス工法(細かいひび割れの補修)
幅の狭いひび割れ(ヘアークラックなど)に対して用いられる工法です。ゴム製の注入器を使用して、エポキシ樹脂をひび割れ内部にゆっくりと注入し、コンクリート内部の隙間を充填します。樹脂が硬化することで強度が回復し、再びひびが広がるのを防ぎます。
- 費用相場:ひび割れ1か所あたり 1万〜2万円程度
- 特徴:施工の負担が比較的少なく、軽微なひび割れ補修に適している
2.Uカットシール工法(幅の広いひび割れに対応)
幅の広いひび割れには、Uカットシール工法が適しています。専用の電動工具でひび割れ部分をU字型にカットし、内部を清掃したあと、シーリング材を充填して仕上げます。防水性が高く、雨水の侵入を防ぐ効果もあります。
- 費用相場:ひび割れ1か所あたり 1万〜2万円程度
- 特徴:見た目が美しく、耐久性の高い仕上がりが可能
3.アラミド繊維シート貼りつけ(補強効果・耐震性アップ)
引張り強度の高いアラミド繊維シートを基礎に貼りつけ、モルタルなどで平滑に仕上げる工法です。ひび割れ補修と同時に、基礎全体の強度や耐震性を向上させる効果があります。
損傷が大きい場合や、長期的な補強を目的とする場合に選ばれることが多いです。
- 費用相場:1メートルあたり 2万〜3万円程度
- 特徴:ひび割れ補修だけでなく、構造全体の補強にも有効
新築・築浅住宅で増える「予防的な基礎補強」
年数が浅く、ひび割れなどが見られない基礎でも、基礎がまだ綺麗な状態のうちに補強を行い、そもそも劣化が起こりにくくするという考え方から、早めに補強を検討するケースがあります。基礎が健全な段階で対策をしておくことで、後にひび割れや補修の負担が増える前に予防できる点が特徴です。
コンクリートは年数が経つにつれて性質が変化し、内部の鉄筋が錆びやすくなります。外からは問題がなく見えても、中では少しずつ劣化が進む場合があります。そのため、状態の良い段階で補強しておくことで、将来の修繕リスクを減らし、住まいを長く安心して維持することにつながります。
基礎補強は施工方法によっては半永久的に効果が持続するため、早めに取り組むことで、後から慌てて直す必要が出るリスクを避けやすくなります。耐震性の向上や将来のメンテナンス費の軽減を目的に、新築から築10年ほどの段階で補強を検討する家庭もあります。
ALT(アルト)でも、「今のうちに不安を解消しておきたい」という理由から、築浅の段階で基礎補強をご相談いただくことが増えています。
ALT(アルト)での施工事例を紹介
築年数や劣化の進行度にかかわらず、「今のうちに備えておきたい」という理由から基礎補強を行うご家庭が増えています。
私たちは、築浅住宅から築30年以上の建物まで、幅広く施工のご相談をいただいています。ここでは、特に築年数の浅い住宅での施工事例をご紹介します。
事例1:築8年・床下外周の基礎補強

基礎のサビが気になりお問い合わせをいただいたケース。
床下点検を行ったところ、クラック(ひび割れ)が7か所確認されました。今後さらにクラックが増える可能性もあったため、床下外周部の基礎補強工事を実施しました。
事例2:築13年・床下外周と間仕切り基礎補強

他社で床下の湿気対策や断熱材交換を提案されていたものの、基礎部分の中性化(劣化)が進行していました。同じ予算であれば「まずは家を支える土台部分から」という考えのもと、基礎全体の補強を実施しました。
事例3:築13年・床下および外周基礎補強

外側の基礎にクラックがあり、以前から気になっていたとのこと。数年前に外壁にもひび割れが発生しており、床下点検でも複数のクラックを確認。早めの対処が重要と判断し、床下と外周の両方を補強しました。
新築住宅の基礎ひび割れは専門業者へ相談を
新築でも基礎にひび割れが発生することは珍しくありません。小さなひびでも、乾燥収縮や施工不良などさまざまな原因が隠れている可能性があります。
自己判断で補修すると再発や構造への影響のリスクがあるため、必ず専門業者に相談しましょう。専門業者なら、ひび割れの幅・深さ・位置から原因を特定し、適切な補修工法で長期的な安全性を確保できます。早めの対応が、不要な補修費用を防ぎ、住まいの寿命を延ばすポイントです。








