基礎の無筋コンクリートは危険?耐震補強は必要か
家を支える大切な基礎コンクリートには、「鉄筋コンクリート」と、鉄筋の入っていない「無筋コンクリート」があります。無筋コンクリートは強度が低く、劣化もしやすいので注意が必要です。
そこで今回は、主に以下について詳しくご紹介します。
・無筋コンクリートが使われている住宅
・無筋コンクリートの危険性
・コンクリートが劣化したときに起こること
基礎コンクリートの劣化や耐震性が気になるという方も、ぜひ参考にしてください。
基礎コンクリートは2種類ある
基礎コンクリートは、鉄筋入りの「鉄筋コンクリート」と鉄筋が入っていない「無筋コンクリート 」の2種類があります。無筋コンクリートは鉄筋コンクリートよりも強度が低く、劣化しやすいという問題を抱えています。
では、なぜ鉄筋の入っていない「無筋コンクリート」が存在するのでしょうか。
その理由は、建築基準法で基礎に鉄筋コンクリートの使用が盛り込まれたのは1981年以降だからです。したがって、1981年以前に建てられた住宅の基礎は無筋コンクリートの可能性があるのです。
基礎が無筋コンクリートだとこんな不安が
基礎コンクリートに鉄筋が入っていないと建物を支える力が弱くなるため、地震などの力に耐えきれず家が倒壊してしまう恐れがあります。事実、過去の大震災で倒壊被害にあった住宅の多くは、1981年以前に建てられた木造建築が大半を占めていました。
また、無筋コンクリートは内部に鉄筋が入っていないため、ひび割れの抑制ができません。ひび割れが生じるとコンクリートの劣化が進行し、建物全体の寿命が短くなることがあります。とくに、無筋コンクリートは鉄筋コンクリートよりも強度が低いため、わずかな劣化でも建物全体の耐震性能を下げてしまうので注意が必要です。
・すでにひび割れがある場合は要注意
基礎の劣化を放置するとひび割れが発生します。危険度はひび割れの状態によって変わるので、ぜひ覚えておきましょう。
<ヘアークラック>
幅0.3mm未満、深さ4mm未満のひび割れは、髪の毛のように細く小さいので「ヘアークラック」と呼ばれます。このひび割れは軽微なので、基本的には様子見で構いません。ただし、ヘアークラックの数が多かったり、ひび割れが大きくなったりした場合には、基礎の補強を検討してください。
<構造クラック>
注意したいのは、幅0.3mm以上、深さ4mm以上の「構造クラック」と呼ばれるひび割れです。構造クラックは建物の構造に影響を与える危険なひび割れなので、早めの対策が求められます。
自宅の基礎が無筋コンクリートか確認するには
ご自宅の基礎が鉄筋か無筋コンクリートなのかを確認したい場合は、築年月をチェックしてみてください。1981年6月以降に建築確認を取得して建てられた住宅なら、鉄筋コンクリートが使われていると考えて間違いありません。
基礎に大きなひび割れが生じていて内部が見えている状態なら目視で無筋か鉄筋かを判断できますが、そのようなケースは滅多にないでしょう。
いずれにしてもご自分での判断は難しいので、基礎コンクリートを確認したいときには、専門業者に点検を依頼するのが無難です。
無筋の基礎コンクリートを補強するには
もし、ご自宅の基礎が無筋コンクリートの場合は、耐久性や耐震面で不安があるため補強工事をおこなう必要があります。ここからは、無筋コンクリートを補強する工法を紹介していきます。
・アラミド繊維シートを貼付する
無筋の基礎コンクリートに「アラミド繊維」という鉄の5倍の高強度を持つシートを貼付して基礎の強度を向上させる工法です。重機を使用しないため工期が短く、比較的工費も安いというメリットがあります。
工期目安 | 1〜3日 |
費用相場 | 2〜3万/m |
・基礎の増し打ちをする
無筋の基礎コンクリートの隣に、新しく鉄筋を組んで抱き合わせることで強度を向上させる工法です。鉄筋の配筋やコンクリートの打設などをおこなうため、アラミド繊維シートの貼付と比較すると工期は長いでしょう。
工期目安 | 建物全体の場合1ヶ月 |
費用相場 | 6〜8万/m |
まとめ
今回は、基礎に使われるコンクリートや、無筋コンクリートについて詳しくご紹介しました。
最近建てられた住宅の基礎は鉄筋コンクリートが基本ですが、1981年以前に建てられた住宅の基礎には無筋コンクリートが使われている可能性があります。無筋コンクリートは建物を支える力が弱く、耐震性が低いので注意が必要です。
また、劣化しやすい無筋コンクリートの基礎を放置しておくと、ひび割れや建物全体の耐震性低下といった問題が発生します。
1981年6月以前に建てられた住宅は、専門業者による基礎の点検を検討してください。家の基礎が無筋コンクリートだった場合には、早めに基礎補強工事を行って耐震性を高めましょう。