介護の浴室リフォームの事例を紹介!費用相場や補助金・助成金についても解説
高齢者や身体的な制約を持つ方にとって、安全で快適な浴室環境は重要です。介護における浴室リフォームは、そのような方々の生活をサポートしたり、自立した入浴を可能にしたりするために欠かせない手段と言えます。
そこで今回は、介護に特化した浴室リフォームの事例や、リフォームの費用相場などについて詳しく解説します。介護の浴室リフォームに使える補助金や助成金も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
介護用に浴室リフォームをする際の事例
介護用に浴室リフォームをする際の事例を、詳しく見ていきましょう。
手すりの設置
浴室に手すりを設置して、安全性を高めるリフォームです。筋力が衰えた高齢者でも、手すりがあればスムーズで安全に入浴しやすくなります。転倒の心配も少なくなるでしょう。手すりの設置個所は浴槽や出入口、シャワー周辺などが一般的です。
バスリフト(浴槽内昇降機)の設置
浴槽にバスリフトを設置して、入浴介助の負担を軽減します。座ったままでも入浴できるのは大きなメリットです。転倒リスクも抑えられます。介護される側だけではなく、介護者の負担を軽くしたいという方は、設置を検討してみてください。
床材の交換
古い浴室の床は、滑りやすい素材が使われていることも少なくありません。近年では滑り止め加工が施されている床材もあるので、安全対策のためにも交換を検討しましょう。滑りにくくて柔らかい床材を選べば、膝立ちでサポートする介護者の負担も軽減できます。
浴槽の交換
安全に出入りできる浴槽への交換です。一般的な浴槽の高さは60cm前後ですが、高齢の方にとっては高く感じられる可能性があります。無理をしてバランスを崩してしまう恐れもあるでしょう。
なお、浴槽の高さは、利用者の体格に合わせなければいけません。リフォームする前に業者に相談したうえで、適切なサイズの浴槽を選ぶようにしましょう。
浴室暖房乾燥機の設置
浴室暖房乾燥機は、ヒートショックの防止に役立ちます。ヒートショックは命を落とすこともあるので、積極的に検討したいリフォームです。入浴前に浴室を暖めておけば、血圧の急な変動を防いで不慮の事故を防げます。
浴室の段差解消
浴室の段差解消は、入浴時の転倒防止に役立つリフォームです。段差を解消すると脱衣所に水が漏れる可能性があるので、防水対策も併せて行なう必要があります。
介護用の浴室リフォームの費用
介護用の浴室にリフォームする費用の相場は、下表のとおりです。
施工内容 | 費用相場 |
---|---|
手すりの設置 | 3~5万円 |
バスリフト(浴槽内昇降機)の設置 | 30~50万円 |
床材の交換 | 10~20万円 |
浴槽交換 | 10~40万円 |
暖房設備設置 | 20~50万円 |
段差解消 | 5~7万円 |
費用相場は、使用する素材や浴室の広さなどによっても大きく変わります。適切な費用を知るためにも、複数の業者に相見積もりを依頼して比較検討することをおすすめします。
介護用に浴室リフォームする際に使える補助金・助成金はある?
介護用の浴室リフォームに利用可能な補助金・助成金は次のとおりです。
- 介護保険
- 国の補助金や助成金
- 自治体の補助金や助成金
それぞれ詳しく見ていきましょう。
介護保険
要支援・要介護認定の方を対象とした制度です。浴室リフォームの場合は「介護保険を使った住宅改修」になります。
浴室リフォームで介護保険の適用対象となるのは、次のような工事です。
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 床材変更
- 扉の取替え
- 上記の各工事に付帯して必要となる工事
補助額は上限20万円で、対象工事費用の7~9割となります。最高では18万円程度になると考えていいでしょう。利用できるのは1人につき1回ですが、上限20万円の範囲内であれば複数回に分けて利用することも可能です。
補助金の支給は、工事完了後に払い戻される償還払いとなります。一度は業者に全額を支払う必要があるので注意しましょう。
なお、上限20万円を使い切った場合も、下記に該当すれば再度利用できるケースもあります。
- 要介護状態区分が「3段階以上」上がった
- 転居した(転居先が新築の場合は不可)
申請は随時受け付けていますが、ケアマネージャーを通す必要があります。事前に担当者と相談をしておきましょう。
国の補助金や助成金
介護用の浴室リフォームで使える国の補助金・助成金は「こどもエコすまい支援事業」です。子育て世帯や若者夫婦世帯向けの制度ですが、リフォーム工事は全世帯が対象となります。
ただし、介護リフォームだけの利用はできません。「必須の工事」が決められており、その補助工事としてバリアフリー改修が認められています。
必須工事(いずれか) | ・窓 ・ドアの断熱 、外壁、屋根、天井、床の断熱 ・エコ住宅設備の設置 |
付随工事(任意) | ・子育て対応改修 ・耐震改修 ・バリアフリー改修(手すりの設置・段差解消・廊下幅等の拡張 ・ホームエレベーター申請・衝撃緩和畳の設置) ・空気清浄機能、換気機能付きエアコンの設置 ・リフォーム瑕疵保険等への加入 |
上表のように、必須工事のいずれかを行なえばバリアフリー改修も適用対象となります。
なお、「こどもエコすまい支援事業」の補助金上限額は、世帯や住宅の種類によって異なります。
世帯 | 住宅の種類 | 一戸あたりの上限額 |
---|---|---|
子育て世帯・若者夫婦世帯 | 既存住宅を購入してリフォーム | 60万円 |
子育て世帯・若者夫婦世帯 | 上記以外 | 45万円 |
その他の世帯 | 安心R住宅を購入してリフォーム | 45万円 |
その他の世帯 | 上記以外 | 30万円 |
利用申請は施工業者が行います。また、交付金も施工業者に支払われます。工事費用のトラブルを防ぐためにも、事前に業者と取り決めをしておきましょう。また、申請は工事完了後となるので、申請期限にも注意が必要です。
自治体の補助金や助成金
自治体によっては、浴室リフォームの補助金や助成金制度があります。適用条件や補助金の額は自治体によって異なるので、居住地域を管轄する自治体に問い合わせてみましょう。
まとめ
介護の浴室リフォームには、次のような種類があります。
- 手すりの設置
- バスリフト(浴槽内昇降機)の設置
- 床材の交換
- 浴槽の交換
- 浴室暖房乾燥機の設置
- 浴室の段差解消
介護する側の負担も軽減できるリフォームもあるので、総合的に判断をしてリフォームの内容を決めましょう。 リフォームの内容によっては、国や自治体の補助金・助成金を利用できます。基本的にはケアマネージャーや業者を通じて申請することになるため、事前に確認と相談をしておきましょう。