家の基礎に開いた水抜き穴は塞いでも問題なし?そもそもの役割や残すメリットとは
家の基礎に開いている「水抜き穴」が気になっている方もいると思います。水抜き穴は、ベタ基礎工事中に基礎の内部に水が溜まらないようにするためのものです。
施工中にはメリットがある水抜き穴ですが、家が完成したあとも穴が開いたままでいいものか不安になりますよね。
そこで本記事では、「基礎の水抜き穴は塞ぐべきか」、「家が完成したあとで基礎内部に水が溜まる原因」などについて詳しく解説します。
水抜き穴を塞ぐ方法もご紹介しますので、基礎の水抜き穴が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
基礎に水抜き穴が開いている理由
床下一面をコンクリートで覆う「ベタ基礎」は、地面からの湿気やシロアリの侵入を防げますが、基礎内部に溜まった水の排出が難しいというデメリットがあります。
このデメリットは、基礎の「施工中」にも問題になります。基礎内部に水が溜まった状態で床板を貼ると、水の逃げ場がなくなってしまうからです。溜まった水をそのままにして工事を完了させると、家が完成したあとの床下が水っぽくなり、床板の腐食やカビの繁殖に繋がります。
専用ポンプなどを使って基礎内部の水を排出する方法もありますが、時間やコストを考えると得策とはいえません。そこで、「水抜き穴」を設け、基礎施工中に水が溜まっても自然と水が抜けるようにするのです。
すべての工事が終わったあとに水抜き穴を塞ぐか塞がないかについては、諸説あります。次の章で詳しく見ていきましょう。
基礎の水抜き穴は塞いでも問題はない?
水抜き穴は基礎の施工時に必要なものなので、施工後は不要になります。そのため、家が完成したあとは塞いでも特に問題ありません。
しかし、下記のような水抜き穴を残すメリット・デメリットが存在するため、建物の完成後に水抜き穴を塞ぐかどうかは住宅メーカーによって判断が異なります。
ここで、水抜き穴を残すメリットとデメリットを確認しておきましょう。
水抜き穴を残すメリット
- 漏水や大雨などによる床下浸水時の排水に役立つ
水抜き穴を残すデメリット
- シロアリなどの害虫の侵入経路になりやすい
- 水害が起こった際に水が床下に流入する原因になる
基礎の水抜き穴を残すメリットとしては、基礎の内側に水が溜まった際の排水の役割がありますが、「排水に役立つなら残したままでいいか」と単純に考えてはいけません。
基礎内部に水が溜まる原因はさまざまあり、原因にあわせた根本的な対処が必要になります。
そこで次の章では、基礎内部に水か溜まる原因と対処法について、詳しくご紹介します。
基礎の内部に水が溜まる原因
基礎の水抜き穴は、施工後も排水の役割を果たすので残すメリットがあるように思われますが、基礎に水が溜まる理由はさまざまなので、原因別に対処することが大切です。
基礎内部に水が溜まる主な原因を見てみましょう。
配管からの水漏れ
水道管の破損などが原因で床下に水が流れてしまうケースです。大量に水が溜まると、建材の傷みやカビ、シロアリが発生する原因になります。
このような場合は、排水してもまたすぐに水が漏れ出してくるので、破損している配管そのものを修理しなければいけません。
床下浸水
大雨や洪水の影響で河川や下水から水が流れ込むケースです。床下浸水で床下に流入してくるのは水だけではなく汚泥や汚物なども含まれます。
もちろん、排水には基礎の水抜き穴も役立ちますが、床下浸水後は一刻も早い排水作業と汚泥や汚物の除去が必要になるため、ポンプやバケツなどで水を汲み出すのが一般的です。
なお、床下浸水時は完全に排水した後、乾燥や消毒をセットでおこなう必要があります。
床下の水は放置厳禁
床下を頻繁に点検する機会はあまりないので、床下の配管から漏水が発生したり、排水溝などが詰まって水が溜まったりしてしまっても、なかなか気づくことはありません。
床下に溜まった水を放置しておくと、湿気が多い環境を好むシロアリやカビを引き寄せる原因になります。また、床下の湿気は「木材腐朽菌」という住宅の木材を腐らせる菌も増殖させるので、木材が腐食されて住宅の耐久性や耐震性に影響が出ます。鉄筋コンクリート住宅であっても木材は使われているので油断はできません。
床下の水分は住宅が劣化する原因なので、「床下の湿気が気になる」「最近家の中が湿っぽい」とお悩みの方はなるべく早めに湿気対策をおこなうようにしましょう。
基礎の水抜き穴の塞ぐ方法は?
基礎の水抜き穴を塞ぐには、DIYで塞ぐ方法と専門業者に依頼する方法があります。
基礎の水抜き穴はモルタルなどを使えばご自身で塞ぐこともできますが、専門的な技術がないと、完全に塞げない可能性があります。シロアリは1mm以下の隙間でも通り道として侵入してくるので、施工に自信のない方は専門業者に依頼しておくのが無難でしょう。
まとめ
基礎の水抜き穴は、ベタ基礎工事中に水が内部に溜まるのを防ぐためのものです。基礎工事が終わったあとは主な役目を終えているので、塞いでしまっても問題はありません。
水抜き穴を塞いでしまうと「基礎内部の水を排出しにくくなる」などのいうデメリットが生じますが、水が溜まる原因はさまざまなので、ケースに応じた対処をしなければいけません。水抜き穴の有無に関わらず、基礎に水が溜まってしまった場合は、原因を突き止めたうえで、各所の修理が必要になるのです。
基礎の水抜き穴はモルタルなどを使ってご自身で塞ぐこともできますが、プロでない限り完全に塞げないことがあります。シロアリや水の侵入を防ぐためにも、水抜き穴を塞ぐときには、施工した住宅メーカーや専門業者に相談しましょう。