バランス釜が点火しない5つの原因と故障のチェックポイントを紹介

バランス釜が点火しない理由は、経年劣化だけではありません。強風などが原因で点火しないのであれば特に心配ありませんが、故障の場合は火災や一酸化炭素中毒などを引き起こす恐れもあるので早めの修理・交換が必要です。

そこで今回は、バランス釜が点火しない理由や故障の兆候、修理・交換方法などについて詳しく解説します。

バランス釜の仕組み

バランス釜は室外から空気を吸気し、同量の空気をバランスよく排気する仕組みです。この仕組みが「バランス釜」という名前の由来にもなっています。なお、バランス釜はBalanced Flueを略して「BF釜」と呼ばれることもあります。

浴槽の横に取り付けられた給湯器には給気口と排気口があり、給気口から外気を取り込んでガスを燃焼させ、お湯を沸かしています。燃焼時に発生した空気は、排気口から外に排出されます。

なお、バランス釜が発売される前に広く使われていたのは「CF釜（Conventional Flue）」と呼ばれるタイプです。このタイプは屋内や浴室内に給湯器を設置して屋内の空気を給気し、円筒の排気筒を通して屋外に空気を排出します。

CF釜の仕組みは外気の逆流で排気が室内に入り込む危険があり、一酸化炭素中毒事故につながるケースもありましたが、バランス釜の登場で事故は大幅に減っています。

バランス釜が点火しない原因5つ

バランス釜が点火しない主な原因を5つ見ていきましょう。

1.エラー表示が出ている

何らかの理由で安全装置が作動すると、ツマミを回してもエラーを出して点火動作に入らなくなります。なお、バランス釜にはエラー番号が表示される機能がないため、電池ボックス横のランプが点滅しているかどうかでエラーの発生を確認します。

2.電池残量がない

電池残量がない場合は点火しないだけではなく、エラーも表示されません。

3.ガスメーターが止まっている

ガスメーターは地震やガス漏れを検知するとガスを遮断します。バランス釜は種火を点けたままにすると、安全装置が作動することがあるので注意しましょう。安全装置の作動で停止したガスメーターの挙動は機種によって異なりますが、一般的には赤ランプの点滅で確認できます。

4.ノズルや熱交換器が詰まっている

使用して5年以上が経過しているバランス釜は、ノズルの詰まりによって点火しないことがあります。

5.強風による失火

バランス釜の種火は小さいので、新品でも外の強風で種火が消えてしまうというデメリットがあります。

バランス釜の寿命は10年が目安【故障のチェックポイントも】

バランス釜の標準的な寿命・耐用年数は10年です。ただし、次のような症状がある場合は、寿命前でも故障している可能性がありますのでチェックしましょう。

• 異音
• 異臭
• お湯の温度が不安定
• お湯が沸かない
• 給湯設備の変色や錆び
• 給湯設備からの水漏れ

など

故障を放置して使い続けると、火災や給湯設備の爆発、一酸化炭素中毒などを起こす恐れがあるので注意しましょう。使用期間が10年未満であっても、異常があれば専門業者に点検・修理を依頼してください。

バランス釜の修理費用の相場

バランス釜の点火しない原因がノズルの詰まりや電池切れの場合は、部品交換で対応可能です。ただし、経年劣化による異音や異臭の修理は高額になることもあります。バランス釜の故障箇所別修理費用の目安は、下記のとおりです。

故障個所	修理費用相場
燃焼系	2万円～
電装系	6千円～
安全装置	7千円～
制御系	1万円～

本体の交換に比べると費用は安く済みますが、経年劣化による故障は繰り返し発生するケースが多いため、費用がかさむ結果にもなりかねません。特に使用期間が10年に近い場合は、寿命前であっても交換を検討した方が経済的です。

バランス釜の交換方法

バランス釜を交換する主な方法を3つ見てみましょう。

1.同じバランス釜に交換する

同形式のバランス釜に交換する方法です。大がかりな工事は不要なので、費用を抑えることができます。バランス釜を採用している住宅は少なくなっていますが、現在でも各社から後継モデルが販売されているため、同タイプのバランス釜に交換することは可能です。

2.ホールインワンタイプに交換する

給湯器本体を壁に埋め込んで設置するのが「ホールインワンタイプ」です。浴室のスペースを確保できるため、大きな浴槽に交換できます。バランス釜と併せて浴槽も替えたい場合は、ホールインワンタイプへの交換も検討してみましょう。

3.ガス給湯器に替える

バランス釜から屋外設置型のガス給湯器に替える方法です。屋外にスペースがあれば、バランス釜からでも交換できます。ただし、マンションの場合は管理規約の確認が必要です。

最近のガス給湯器は機能が充実しており、キッチンの給湯にも対応できるため、長期的に使う場合はガス給湯器を選択した方がいいでしょう。

まとめ

バランス釜はノズルの詰まりや電池切れなどで点火しないことがあります。軽微な故障であれば簡単な修理で直せますが、経年劣化や重度の故障は交換した方が経済的です。バランス釜の寿命は10年ですが、寿命前でも故障の兆候がある場合は換を検討した方がいいでしょう。

近年ではバランス釜よりも高性能で使いやすいガス給湯器が増えているため、浴槽も含めた浴室全体のリフォームの検討も視野に入れてバランス釜の交換を検討してみてください。