水害による床下浸水には消毒が必要?手順や費用を解説
毎年、日本各地で台風や集中豪雨により家屋の浸水被害が出ています。もはや、水害や床下浸水は他人事ではありません。もし、自分の家が床下浸水してしまったら、なるべく早めに流れ込んだ水を排水し、床下を乾燥させましょう。そして、大切な家や家族の健康を守るためにも、しっかりと消毒をおこなうことも重要になります。
今回は、ご家庭でもできる消毒の方法や消毒の費用などを詳しくご紹介していきます。
水害による床下浸水には消毒が必須!
水害によって床下に流れ込む水は下水や生活排水といった汚水です。さらに、汚水と一緒に汚泥やゴミなども流れ込むので、カビや細菌が繁殖しやすい環境になります。したがって、床下に溜まった汚水を排水した後は必ず洗浄や消毒を行う必要があります。
もし、床下浸水後に洗浄や消毒をしないまま放置していると、床下にカビが発生したり細菌が増殖して感染症を引き起こしたりするなど、家が傷むだけではなく健康リスクも高まります。
以下が、床下浸水時に注意すべき感染症の種類や症状です。
感染症
床下浸水で流入した汚水や泥に触れると「レジオネラ菌」や「レプトスピラ菌」といった細菌に感染してしまうことがあります。
とくに、レジオネラ菌は菌を含んだ水蒸気を吸い込むだけでも感染のリスクが生じますので、作業時には感染症予防としてマスクを着用しましょう。
これらの細菌に感染すると高熱、頭痛、腹痛、咳や息切れといった呼吸器の症状が現れ、免疫力が低下している状態だと重症化する可能性もあるので注意が必要です。
破傷風
土の中にいる破傷風菌が傷口から入ることで感染します。神経毒素による痙攣症状から始まり、重症化すると呼吸筋が麻痺して窒息死することがあります。
もし、破傷風のワクチンを打っていない状態で傷がある部分に汚水や泥が付着してしまったら、しっかりと傷口を水で洗い流し、すみやかに医師の診察を受けるようにしましょう。
水害後に床下消毒をおこなう手順
もし、水害にあってしまい自宅が床下浸水してしまったら、家屋や家族の健康を守るためにも消毒作業は必須です。
床下浸水後の床下消毒はご自身でも行えるので、その方法をご紹介します。
消毒を始める前の準備
消毒作業を行っていない床下の衛生環境は非常に悪いので、ご自身の身を守るためにも服装は長袖長ズボン、長靴、マスク、ゴーグル、ゴム手袋の装着は必須です。
また、床下という慣れない場所での作業になるため怪我をしてしまう場合もあります。怪我をすると傷口から細菌が入り感染症にかかるリスクが高まるので、絶対に肌の露出は避けるようにし、安全に配慮しながら作業を行いましょう。
また、消毒作業を行う前には、床下の排水が完了しており、最低でも一週間以上床下を乾燥させてから行いましょう。
自分で床下消毒するときは「消石灰」が便利
床下の消毒には消石灰(しょうせっかい)を使用します。
消石灰は石灰石を砕いて加工したもので園芸用に使用されたり、以前は学校のグランドの白線にも使用されたりしていました。
使用方法は、粉末のまま1平方メートルあたり1キログラムを目安に床下に散布していきます。消石灰は、園芸用品店やホームセンターで簡単に手に入りますし、使い方も簡単なのでご家庭内でも手軽に取り扱うことができます。
一方で、消石灰は強アルカリ性なので目に入ると大変危険で、最悪の場合失明する可能性があります。床下に散布する際には、保護メガネ・マスク・手袋の着用をしましょう。
作業後には手指の消毒も大切
水害後の床下消毒作業のあとは手指の消毒も欠かせません。
手指の消毒には「消毒用アルコール」や「逆性石鹸」の使用がオススメです。あまり聞きなれない逆性石鹸ですが、普通の石鹸と比べて高い殺菌効果があります。基本的に希釈して使用するため消毒用アルコールより一回の使用量が少なく、また手指の殺菌消毒の他にも、掃除や洗濯にも使用できるので使い勝手がいいです。
逆性石鹸はドラッグストアなどで簡単に手に入ります。
水害後の床下消毒にかかる費用はこれぐらい
水害後の床下消毒に有効な消石灰は、10キロあたり1,000~1,500円程度の価格で購入できます。こちらは、園芸用品店やホームセンターで簡単に手に入ります。
一般的な住宅の平米数が100~120平米(30~40坪)ほどなので、床下消毒に消石灰を使用する場合には10,000~15,000円程度の費用がかかるものと認識しておきましょう。
ご自身での作業が難しい場合は業者に依頼も
床下浸水後に行う作業は、普段開けることのない床下空間で行うので勝手がわからず不安に思われる方も多いと思います。さらに、床下には水害によって汚水や汚物が流れ込んできている状態なので、予期せぬ怪我なども起こりやすく、力作業も多いのでしかるべき業者に依頼するのも一つの手です。
業者に依頼した際の費用は、排水・乾燥・消毒を含め、1平米あたり1,500~2,000円が相場となっています。つまり、一般的な住宅ですと15万~20万円ほどの費用で業者に依頼することができます。
まとめ
水害後に床下浸水してしまった場合には、衛生面から必ず消毒をしておく必要があります。
今回ご紹介したように、ご家庭内でも床下消毒は行えますので、ご自身で行う際には床下浸水の排水・乾燥をしっかりと行い、取り扱いに注意しながら消毒作業を行いましょう。
床下浸水後、排水・乾燥ができているから問題ないと判断してしまうと、カビの発生や細菌の繁殖による健康被害など思わぬ二次被害を招くことになります。床下浸水後は、排水・乾燥・消毒までをセットで考えて対処するようにしましょう。